「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」および 「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」に採択 ~これまでの「VPP実証事業」の報告書も公開~

2021.06.25[実績情報]

自然電力株式会社(以下「自然電力」)は、経済産業省が実施する「令和3年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」および「令和3年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」に採択されました。

また、平成30年度および令和2年度における「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業」(以下「VPP実証事業」)報告資料の提供を開始しましたのでお知らせいたします。

▼ 自然電力「VPP実証事業」資料ダウンロードフォーム(お申込みが必要です)
 https://se-digital.net/vpp-reports

■「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」について

現在日本の再生可能エネルギー(以下「再エネ」)導入はFIT(※1)制度の下に進んでいますが、2022年4月からFIP(※2)制度への移行が予定されています。再エネの市場統合を見据えた本制度下では、再エネの発電事業者にも特例を認めずに発電計画値の同時同量(※3)義務が課され、売電価格変動リスクも負うことになります。しかし、太陽光や風力発電の発電量・発電時間帯は天候に依存して変動するため、発電量を正確に計画することも、市場価格変動などにあわせて発電量を最適化する調整も困難です。

こうした課題に対し、再エネ発電設備を集約して発電予測しつつ、蓄電池などの分散型エネルギーリソース(以下「DER」)の制御を組み合せてインバランス(※4)を低減しながら、売電収益を最適化することが再エネアグリゲーションとして求められています。

自然電力ではこの度、太陽光発電所や風力発電所などの発電設備および産業用蓄電池やV2H(※5)機器などのDERを対象とし、発電量予測やDER制御、市場取引やバランシンググループ(※6)間取引などの再エネアグリゲーションに関する技術可能性と事業性などを検証します。

■「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」について

2050年のカーボンニュートラルへ向けた動向や災害激甚化によるレジリエンスニーズの拡大を背景にDERは急速に普及しています。こうしたDERは常に利用されている状態ではないため、未使用時には別の価値を創出できる可能性があります。

「分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」は、こうしたDERを制御することで市場あるいは小売電気事業者や発電事業者などに調整力を提供することを目的としています。

自然電力は、昨年度までのVPP実証事業において、産業用・家庭用蓄電池を対象とした秒単位制御(需給調整市場「二次調整力①」を想定した周波数調整制御)およびその制御と市場価格連動制御(※7)の2つを同時に行う制御、さらにヒートポンプ給湯器を対象としたDR(※8)制御などを実証してきました。

VPP実証中のモニタリング画面(ウイングアーク1st社「MotionBoard Cloud」を活用)

本年度はこれまでの技術をいかした市場価格連動DR制御に加え、EV(電気自動車)を利用した需給調整市場「一次調整力」相当のガバナフリー制御(※9)などの実証を行う予定です。

自然電力では自然エネルギーの拡大・普及にあたり、自然エネルギー電源の開発だけでなく、再エネによる電力の供給と需要をバランスさせる仕組みが不可欠と考えエネルギーテック事業を展開しています。今後も地域における分散型電源の普及を通じて、“自然エネルギー100%の世界”の実現を加速させてまいります。

※1 FIT (Feed-in Tariff) :再エネ電源の電気を電力会社が一定期間固定価格で買い取る制度
※2 FIP (Feed-in Premium):再エネ電源の電気を売電する際にプレミアム(割増金)を上乗せする制度
※3 同時同量:30分間ごとの計画の電力量と実際の電力量を合わせること
※4 インバランス:計画値と実績値の差異のこと。その差分に対して支払う必要があるペナルティ要素の含んだ料金を「インバランス料金」という
※5 V2H (Vehicle to Home) :EVの電気を家などに送ること
※6 バランシンググループ:インバランス精算の単位となる事業者グループの単位
※7 市場価格連動制御:卸電力取引所のスポット価格の値差に対して収益を最大化するようにDERを充放電する制御
※8 DR (Demand Response):需給調整などのために需要家側の電力消費を変化させること
※9 ガバナフリー制御:発動機の回転速度(これが周波数となる)が一定となるように発電所自ら制御すること。DERの場合にはDER自身が周波数を検出しアルゴリズムに従い周波数が一定になるように自動的に動作すること

 

■「再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業」の体制および期間

コンソーシアムリーダー

株式会社エナリス

再エネアグリゲーター

自然電力株式会社、株式会社エナリス、東邦ガス株式会社、MULユーティリティーイノベーション株式会社、戸田建設株式会社

実証協力者

JREオペレーションズ株式会社、株式会社レノバ、会津電力株式会社、国際航業株式会社、ENEOS株式会社、電源開発株式会社、シェルジャパン株式会社、東急不動産株式会社、ハンファQセルズジャパン株式会社、東芝三菱電機産業システム株式会社、株式会社横浜環境デザイン、株式会社アドバンテック

実証期間

交付決定日~2022年2月22日

 

■分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業の体制および期間

コンソーシアムリーダー

株式会社エナリス

リソースアグリゲーター

自然電力株式会社、株式会社エナリス、KDDI株式会社、東邦ガス株式会社、株式会社ナンワエナジー、株式会社スマートテック、 株式会社Sassor、株式会社NTTスマイルエナジー

実証協力事業社

三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社、株式会社REXEV、京セラ株式会社、株式会社Looop

実証期間

交付決定日~2022年2月22日

 

【参考】
■「MotionBoard Cloud」(製品WEBサイト)
https://www.wingarc.com/product/motionboard/cloud/