Shizen Connect、東邦ガスと家庭用蓄電池からの逆潮流を要件に含む低圧VPP実証を完了

~「機器制御型DR支援サービス」のさらなる充実と成長を目指す~

2024.07.08[プレスリリース]

VPP(*1)プラットフォーム開発会社の株式会社Shizen Connect(以下、Shizen Connect)は、東邦ガス株式会社(以下、東邦ガス)と実施した、家庭用蓄電池からの逆潮流(*2)を要件に含む低圧VPPの共同実証(以下、本実証)を完了いたしました。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再エネ電源や蓄電池等の分散型リソースを最大限活用し、安定した電力システムを構築していくための手段の一つとして、家庭用蓄電池等のエネルギーリソースの集合制御による低圧VPPへの注目が集まっています。制御の際に、蓄電池に貯めた電力を用いて家庭の電力使用量を抑制するだけでなく、逆潮流により系統側への電力供給も行うことで、より大きな調整力を生み出すことができ、小売電気事業者及び需要家にとっての収益性の向上に貢献する可能性があります。

本実証は、2023年12月5日に発表した「機器制御型DR実証2023年冬」(*3)の第2回として実施し、Shizen Connectが開発・運用するエネルギー管理システム「Shizen Connect」(以下、「Shizen Connect」)と蓄電池メーカーの制御システムのクラウド連携を通じて家庭用蓄電池の遠隔制御を行い、逆潮流を許容した場合の技術性及び経済性の評価を行いました(表1)。

本実証の結果として、逆潮流を許容した家庭用蓄電池の充放電制御が技術的に問題なく実施可能であることを確認し、制御に対する追従率は充放電平均で83%(逆潮流放電のみの場合、89%)となりました。また、当社の制御ロジックに基づいて逆潮流を許容した家庭用蓄電池制御を2023年度の1年間にわたり継続した場合のシミュレーションを実施し、その経済性を算出するとともに、今後の商用サービス展開に向けた課題抽出を実施しました。

「Shizen Connect」は2023年5月より、小売電気事業者向けに卸調達コスト削減及び容量拠出金削減制御を実施する「機器制御型DR支援サービス」(以下、本サービス。*4)の提供を開始し、複数の大手小売電気事業者に採用されています(*5、*6)。また本サービスでは5社の家庭用蓄電池メーカーとクラウド連携し、制御可能な家庭用蓄電池メーカーの国内市場シェアは合計で約57%(*7)に達しています。今回の逆潮流に関する実証結果は、卸調達コスト削減及び容量拠出金削減にとどまらず、今後の容量市場向け制御にも寄与するものと考えられます。本実証結果を活用して、本サービスの提供機能のより一層の充実を図り、ビジネスの成長を目指します。

Shizen Connectでは今後も引き続き、各分野のリーディングカンパニーと共に、脱炭素化社会の実現に向けた貢献を続けてまいります。

■本実証の概要

名称

機器制御型DR実証2023年冬(第2回)

目的

Shizen Connectが提供する機器制御型DRサービスが、経済性と技術性の観点から商用導入が可能かを実証

※ただし、系統への逆潮流を要件に含む

実証期間

2024年6月

評価方式

  1. コスト削減効果のシミュレーション(卸調達コスト削減、容量拠出金削減)
  2. 技術性評価(卸調達コスト削減の制御指示に対するリソースの追従性)

制御対象機器

需要家宅に設置の家庭用蓄電池(オムロン製) 3台

蓄電池メーカーの役割

・自社遠隔制御システムによる蓄電池制御の実施

東邦ガスの役割

・制御要件の提供

・コスト削減シミュレーションに必要な情報提供 等

Shizen Connectの役割

・制御計画の立案と制御指示

・コスト削減シミュレーション

・実証成果検証

・その他実証実験全体のとりまとめ 等

*1 Virtual Power Plant(仮想発電所):分散型電源(発電設備、蓄電池、EVなど)や需要設備を遠隔で統合・制御することで、あたかもひとつの発電所のように機能させること。
*2 家庭や事業所などに設置された需要側設備から電力系統へと電力を逆流させること。
*3 大手小売電気事業者8社がShizen Connectによる低圧VPPの共同実証を実施(2023年12月5日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2023/12/05/dr_support_demo_8_retailers/
*4 機器制御型DR支援サービス:需要家の保有する家庭用蓄電池、その他のエネルギー機器を遠隔制御することにより電力の利用パターンを変化させ、小売電力事業者のニーズに応じて電力受給のバランスをとったり、調整力を創出したりするサービス
*5 東京ガスのソリューション「IGNITURE蓄電池」の制御プラットフォームとして「Shizen Connect」を採用(2024年4月23日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/04/23/shizen_connect_igniture_saas/
*6 東京電力エナジーパートナーが低圧VPP運用にShizen Connectを採用(2024年6月21日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/06/21/sc_tepco_adopt_dr_support/
*7 「月刊スマートハウス」No.108(2024年2月号)の蓄電池メーカーシェアに基づき当社試算

【エネルギー管理システム「Shizen Connect」について:https://www.se-digital.net/
「Shizen Connect」は再エネ発電設備や蓄電池・EV・エコキュートなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギー管理システムです。蓄電池やEV充電器などの個別制御から、複数の建物を自営線などで繋いだマイクログリッド制御、大規模のエネルギーリソースによるVPP制御などが実現できます。分断されがちだった個別の制御とVPP制御などをワンストップで提供でき、エネルギーリソースをマルチパーパスで利用することで経済性を向上させられます。またベンダーフリーなのでメーカーに依存することなくエネルギーリソースは自由に選定できます。

【株式会社Shizen Connect 会社概要】
会社名  :株式会社Shizen Connect
本社所在地:東京都中央区日本橋本町2丁目4番7号
設立   :2023年10月2日
株主構成 :自然電力株式会社100%
代表者  :代表取締役 松村宗和
事業内容 :VPPプラットフォーム事業、エネルギー管理サービス事業、IoT機器販売事業など
URL   :https://se-digital.net