Shizen Connectとダイキン、大手電力3社と再エネ余剰電力の有効活用に向けた共同実証を実施

- 家庭用エコキュートの遠隔制御により再エネ出力制御を抑制 -

2024.07.31[プレスリリース]

 VPP(*1)プラットフォーム開発会社の株式会社Shizen Connect(以下、Shizen Connect)と空調総合メーカーのダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)は、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の有効活用を目的に電力需要を創出するディマンド・リスポンス(以下、需要創出DR)(*2)において、家庭用ヒートポンプ給湯機エコキュートの沸き上げ時間を、再エネの発電量が多い時間帯にシフトする有効性を検証する実証実験(以下、本実証)に共同で取り組みます。本実証は、東北電力株式会社、北陸電力株式会社、北海道電力株式会社、四国電力グループの株式会社四国総合研究所とともに、2024年10月より開始します。
 
 近年、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けて、再エネ電源の導入が急速に進んでいます。太陽光や風力などの再エネ電源は、温室効果ガスの排出量が少ない反面、天候の変化などにより発電量が変動します。そのため現在では電力需要を超えた電力供給を抑える目的で、再エネの発電量が増加する時間帯を中心に発電を停止する「再エネ出力制御」(*3)が行われています。こうした再エネ出力制御は日本各地で行われており、導入が進む再エネ電源を有効活用しきれていないことが課題となっています。
 
 本実証では、Shizen Connectが開発・運用するエネルギー管理システム『Shizen Connect』と、ダイキンが持つエコキュートの遠隔制御システムをクラウドで連携し、再エネの発電量が多い昼間の時間帯に『ダイキンエコキュート』を遠隔制御して需要創出DRを実施します。需要創出DRにおける技術性、経済性、及びCO2削減効果を評価し、再エネ出力制御抑制への有効性を探ります。なお、本実証は、実証実験への参加について同意を得られた一般家庭を対象に行います。また、エコキュートの制御計画は、翌日のJEPX価格(*4)や電力会社からの出力制御スケジュールに基づいて『Shizen Connect』が立案します。
 
 Shizen Connectとダイキンは、本実証を通じて、『Shizen Connect』と『ダイキンエコキュート』を用いた需要創出DRの効果的な運用方法を検討するとともに社会実装を目指します。両社は、今後も各分野のリーディングカンパニーとの協創にも取り組みながら、脱炭素化社会の実現に貢献します。

*1 Virtual Power Plant(仮想発電所):分散型電源(発電設備、蓄電池、EVなど)や需要設備を遠隔で統合・制御することで、あたかもひとつの発電所のように機能させること。
*2 DR(ディマンド・リスポンス)制御:電力の需要と供給のバランスをとる目的で、需要家側の電力使用量を制御することによって電力パターンを変化させること。なかでも、需要家側機器の稼働や蓄電池の充電等により、ある時間帯の電力需要量を意図的に増やすDRのことを「需要創出DR(上げDR)」と呼ぶ。
*3 再エネ出力制御:エリアにおける電力供給量が需要を上回る際に再エネ電源の発電を停止すること。
*4 電気の市場価格。「日本卸電力取引所(JEPX)」で取引される電気の価格。

【実証実験概要】

名称

『ダイキンエコキュート』を用いた需要創出DR(上げDR)実証

目的

『Shizen Connect』と『ダイキンエコキュート』の遠隔制御システムのクラウド連携による需要創出DRの技術性、経済性、及びCO2削減効果の評価

実証時期

2024年10月~

評価方式

  • 技術性(機器の機能評価、需要シフトの制御指示に対するエコキュートの沸き上げ可能量 など)
  • 経済性(小売電気事業者の調達コスト及び需要家の電気料金等の増減による金額的な影響)
  • CO2削減効果(再エネ出力抑制回避によるCO2削減量 等)

Shizen Connectの役割

  • 需要創出DRの実施判断ロジックの検討
  • 制御計画の立案と制御指示
  • 実証成果検証
  • その他実証実験全体のとりまとめ 等

ダイキンの役割

  • 『Shizen Connect』からの沸き上げ時間指示に基づく、自社遠隔制御システムを用いた『ダイキンエコキュート』の沸き上げ制御の実施
  • 機器使用状況からのDR参加可否の判断

大手電力3社および
協力会社1社の役割

(東北電力株式会社)

(北陸電力株式会社)

(北海道電力株式会社)

(株式会社四国総合研究所)

  • 実証環境の提供
  • 実証評価と、これに基づく社会実装の検討

【実証スキーム】

【ダイキンエコキュートについて:https://www.ac.daikin.co.jp/sumai/alldenka/ecocute
「ダイキンエコキュート」はヒートポンプ方式を採用、空気の熱を利用してお湯を沸かすことで、電気エネルギーだけでお湯を沸かす場合と比べて消費電力量を約1/3に抑える給湯機です。スマートフォンアプリ『Daikin Smart APP』との連携で、帰宅途中など外出先や、家の中の離れた場所から浴槽の湯はりや追いだきが可能、さらには天気予報と連動して沸き上げのタイミングを自動で判断してかしこくお湯を沸き上げます。また、主に太陽光発電が行われる昼間にお湯を沸かす「おひさまエコキュート」は、太陽光発電の自家消費率向上に貢献します。

【ダイキン工業株式会社の概要】
会社名     :ダイキン工業株式会社
本社所在地   :大阪府大阪市
設立      :1934年2月11日
代表者     :代表取締役社長 兼 COO  竹中 直文
主な事業    :空調・冷凍機、フッ素化学、油圧機器部品などの製造・販売
ホームページURL:https://www.daikin.co.jp/

【エネルギー管理システム「Shizen Connect」について:https://www.se-digital.net/
「Shizen Connect」は再エネ発電設備や蓄電池・EV・エコキュートなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギー管理システムです。蓄電池やEV充電器などの個別制御から、複数の建物を自営線などで繋いだマイクログリッド制御、大規模のエネルギーリソースによるVPP制御などが実現できます。分断されがちだった個別の制御とVPP制御などをワンストップで提供でき、エネルギーリソースをマルチパーパスで利用することで経済性を向上させられます。またベンダーフリーなのでメーカーに依存することなくエネルギーリソースは自由に選定できます。

【本実証に関連する株式会社Shizen Connectの取り組み】
Shizen Connectは、2023年5月より家庭用蓄電池による需給ひっ迫対策と電力調達コスト削減を目的とした「機器制御型DR支援サービス」の商用提供を開始し、大手小売電気事業者に採用されるなど(*5、*6)、低圧エネルギー機器の遠隔制御によるVPP化を実現しています。2024年7月には、VPPの社会実装を進める目的で、大手電力会社を含む計8社との資本業務提携契約を締結しました(*7)。

【株式会社Shizen Connect の会社概要】
会社名  :株式会社Shizen Connect
本社所在地:東京都中央区日本橋本町2丁目4番7号遠五ビル
設立   :2023年10月2日
代表者  :代表取締役 松村宗和
事業内容 :VPPプラットフォーム事業、エネルギー管理サービス事業、IoT機器販売事業など
ホームページURL:https://se-digital.net

*5 東京ガスのソリューション「IGNITURE蓄電池」の制御プラットフォームとして「Shizen Connect」を採用(2024年4月23日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/04/23/shizen_connect_igniture_saas/
*6 東京電力エナジーパートナーが低圧VPP運用にShizen Connectを採用(2024年6月21日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/06/21/sc_tepco_adopt_dr_support/
*7 Shizen Connect、仮想発電所の社会実装のため計8社と資本業務提携契約を締結(2024年7月9日付プレスリリース)
https://www.shizenenergy.net/2024/07/09/sc_capital_business_alliance/