2050年温室効果ガス実質ゼロ宣言について
10月26日、臨時国会における菅義偉首相の所信表明演説の中で、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標が表明されました。
この宣言の背景には、首相が演説内で「温暖化への対策は既に経済成長の制約ではなく、むしろ積極的な温暖化対策を行うことが経済成長や産業構造の変革をもたらす」と述べたような考え方が、グリーンディールを昨年末に発表した欧州連合(EU)を筆頭に世界の主流になりつつあることを、9カ国で自然エネルギー事業を展開する事業者としても感じております。
自然電力グループは、この宣言が日本の脱炭素化への大きな一歩となることを、大変嬉しく思います。
では、この目標をどのように達成していくのか。
いち自然エネルギー事業者として、自然電力グループは以下の2点をエネルギー業界全体で議論していく必要があると考えています。
まず1つ目は、本宣言達成に向けた具体的な自然エネルギー導入量の数値目標を持つことです。
日本では、電力系統整備の長期計画において、将来の自然エネルギー導入も見込むこととなっていますが、2030年のエネルギー見通しにおいて、自然エネルギー比率が20~24%となっており、このままでは自然エネルギーが導入し難い形で系統の更新が行われてしまう懸念があります。自然電力グループは、基本政策分科会によって来夏に予定される第6次エネルギー基本計画で高い導入目標が盛り込まれることが、民間の取り組みを最大限に引き出すためにも必要なのではないかと考えています。
例えば、欧州連合(EU)では、EU全体での数値目標(2030年に32%)に向けて加盟国政府がそれぞれ数値目標を持たせることで、民間企業も投資しやすく、新しいことに挑戦しやすい環境作りが実際に進んでいます。
2つ目は、日本国内で自然エネルギーを広めていくために取り組む必要のある、土地と系統に関する課題へのアプローチです。
土地については、耕作放棄地や所有者不明の土地を農林業と共存しながら使えるようにするため、地域主体での自然エネルギー開発の枠組みが必要となります。菅首相の演説にあった「国と地域とで検討を行う新たな場」に、こうした枠組みが含まれることで、地域主体での土地の有効活用の議論ができるようになるので、自然電力グループもこれまで培ってきた地域重視の開発ノウハウを積極的に共有していくことで、この「場」が成功するようご協力していきたいと考えています。
系統については、送電系統では、すでに経産省がノンファーム型接続の全国展開の方針を出されていますが、国内では、配電系統についてはノンファーム型接続の検討はまだ行われていません。日本の場合、太陽光発電所の多くが配電系統に接続されますが、すでに配電系統の混雑により、発電所が実現できない地域が多いのが現状です。自然電力グループは、国内での更なるVRE(変動性再エネ)導入が進むためにも、配電系統でのノンファーム型接続の実現が重要になってくると考えています。
自然エネルギー産業は、日本が世界で価値を出せる分野です。自然電力グループは、この宣言が自然エネルギー100%の世界へ向けた日本の大きな一歩となり、民間が国内外で挑戦していくために必要な環境整備が進むことを期待しています。自然電力グループも、自然エネルギー100%の世界を目指して引き続き尽力してまいります。
<本件に関するお問い合わせ先>
自然電力株式会社 広報
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