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マレーシアでの新規太陽光発電プロジェクトにおけるPPAの締結 | Google

マレーシアをはじめとするAPAC(アジア太平洋)地域に製造拠点やデータセンターを展開する企業の皆さまにとって、再生可能エネルギーの調達は、もはや避けて通れない経営課題となっています。

「現地での再エネ調達手段が限られている」「頻繁に変更される制度状況に追いつけない」「I-RECの価格変動が不安」、このようなお悩みをもつご担当者様も多いのではないでしょうか。各国の脱炭素化に向けた動きが加速する中で、長期的に安定した再エネ電源を確保することは、企業の競争力を左右する重要なファクターとなりつつあります。

こうした中、自然電力グループは2025年12月15日、マレーシアにおいてGoogleとPPA(電力購入契約)を締結いたしました。

今回は、導入事例として本プロジェクトの概要をご紹介するとともに、マレーシアにおける近年の再エネ市場の動向、さらに企業が取るべき脱炭素戦略の選択肢について解説します。

GoogleとのPPA(電力購入契約)締結の概要

自然電力グループは、マレーシアの現地法人であるShizen Malaysia Sdn. Bhd.が参加するコンソーシアムを通じて、Googleとの間でPPA(電力購入契約)を締結いたしました。これは、マレーシアの「企業向けグリーン電力プログラム(CGPP:Corporate Green Power Programme)」に基づきGoogleが締結した初のPPAの一つであり、2024年5月に日本で両社が締結したPPAに続くものです。

プロジェクトの規模と枠組み

本プロジェクトは、マレーシア北西部のケダ州グルンに位置する、出力29.99 MWacの大規模太陽光発電所を建設・運営するものです。

Shizen Malaysia、現地の再エネ大手であるSolarvest Asset Management Sdn. Bhd.、エンジニアリング企業のHSS Engineering Sdn. Bhd.の3社から構成されるコンソーシアムによって設立された事業会社が、発電所の開発・建設・所有を行います。Shizen Malaysiaは、本コンソーシアムにおいてリードデベロッパーを務めています。

本プロジェクトは2025年11月3日にファイナンシャルクローズ(資金調達の完了)を達成しており、商用運転開始(COD)は2027年を予定しています。

Googleの目標達成への寄与

本プロジェクトは、事業運営をカーボンフリーのエネルギーで実施するというGoogleの目標を直接的に支援するものです。太陽光発電所から創出されるエネルギー属性をGoogleに提供することで、リアルタイムかつ時間単位でのカーボンフリー電力消費の実現に向け、地域での重要な支援を行います。
また、この協業は、2050年までに再生可能エネルギー比率70%を目指す、マレーシアの国家エネルギー移行ロードマップ(NETR:National Energy Transition Roadmap)に示された脱炭素化目標の推進にも寄与します。

国境を越えた開発体制

本プロジェクトの特徴は、日本とマレーシアの企業が強固なパートナーシップを結び、地域に根差した開発体制を構築している点にあります。
Shizen Malaysiaに加え、地域事情に精通したSolarvestやHSSといった高い専門性を持つチームが主導することで、クリーンエネルギー分野における雇用促進や、広範なマレーシアのサプライチェーン支援といった「地域価値の創出」も実現します。

マレーシアにおける再生可能エネルギー市場

今回のGoogleとのPPA締結の背景には、マレーシア政府が推進する強力なエネルギー政策の転換があります。ここでは、現地に進出する日系企業が押さえておくべき市場動向について解説します。

国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)の推進

マレーシア政府は、2050年までに再生可能エネルギー比率を70%まで引き上げるという目標を掲げ、「国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)」を推進しています。
これまでのマレーシアの電源構成は火力発電への依存度が高いものでしたが、NETRの下、国を挙げてクリーンエネルギーへの移行を加速させています。今回のGoogleとの協業も、このNETRに示された脱炭素化目標の推進に寄与するものです。

企業が再エネにアクセスするための制度変革

これまでマレーシアでは、企業が再エネを利用する手段は限定的でした。しかし近年、企業の脱炭素ニーズに応えるための新たな制度設計が相次いで行われています。
その代表例が、今回のプロジェクトでも活用された企業向けグリーン電力プログラム(CGPP)です。これは、物理的な電力供給に縛られない「バーチャルPPA」を採用し、企業による大規模な再エネ調達を可能にしました。

また、2024年9月にはCRESS(Corporate Renewable Energy Supply Scheme)が導入され注目が集まっています。従来、マレーシアの電力供給は国営電力会社TNBを介した送電が主でしたが、CRESSにより、民間の再エネ発電事業者がTNBの送電網を利用し(託送)、需要家である企業へ直接電力を供給することが可能になりました。 企業にとっては、発電事業者と直接契約を結ぶことで、より柔軟かつ透明性の高い再エネ調達が可能になる枠組みとして期待されています。

調達手段の多様化と複雑化

こうした制度改革により、企業にとっての再エネ調達の選択肢は、従来の「I-REC(電力証書)の購入」や「屋根置き自家消費」に加え、送電網を介した「オフサイトPPA」へと広がりを見せています。

一方で、CGPPやCRESSといった新しい制度は仕組みが複雑であり、申請プロセスや条件も専門的な知識を要するため、多くの企業にとって参入障壁が高いのも事実です。制度状況を理解し、どういった手法で再エネを導入するのが自社にとって最適解なのかを見極めることは、マレーシアに限らず海外拠点の脱炭素戦略の鍵となっています。

アジア・太平洋地域における脱炭素ソリューションの選択肢

大規模なオフサイトPPAは、価格の長期固定化や追加性の観点から非常に有効な手段ですが、発電所の建設期間に加え、15〜20年に及ぶ長期契約へのコミットメントなど、導入決定までにさまざまなプロセスを要することも多く、すべての電力需要をPPAだけで即座にカバーすることが難しい場合もあります。

こうした背景から、初期の脱炭素対策としてI-RECなどの環境証書の導入から始められる企業様も多くいらっしゃいます。 このように、自社の状況に合わせた「ハイブリッド」な調達戦略を描くことが重要になります。

「PPA」と「I-REC」を組み合わせる最適解

自然電力では、PPAの導入支援から、国際的な環境証書I-RECをはじめとする世界97ヵ国以上での再エネ証書調達まで、幅広く対応しています。「証書、またはPPA」という二者択一ではなく、企業のフェーズや脱炭素化を推進したい事業拠点がある国の制度状況を踏まえ、柔軟な脱炭素施策のご提案が可能です。現在ご契約中の電力プランや現地の再エネメニュー、PPAを導入した場合のトータルコストを比較・シミュレーションし、貴社にとって経済合理的かつ持続可能な再エネ調達をサポートいたします。マレーシアをはじめとするAPAC地域での脱炭素戦略にお悩みの際は、ぜひご相談ください。