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COP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)は、2024年11月にアゼルバイジャン共和国で開催された、気候変動や地球温暖化対策を世界規模で議論する国際会議です。COPは各国政府や研究機関・有識者などが集まり、温室効果ガス排出削減や気候変動対策の進捗を確認し、新たな合意を形成する場として毎年開催されています。
本記事では、COPの基本情報とCOP29で議論された主なテーマ、そして今後の環境課題も詳しく解説します。気候変動対策の最新の国際動向を理解したい方はぜひご覧ください。
目次
COP29とは
COP29は、欧州のカスピ海西岸にあるアゼルバイジャン共和国で2024年11月11日~11月24日まで開催された、国連気候変動枠組条約会議です。ここではCOPの基礎知識に加え、京都議定書・パリ協定との関連性について解説します。
COPとは
COP(Conference of the Parties)は「締約国会議」と訳され、国際条約などの締約国同士の会議を指します。中でもCOPが指すことが多いのは国連気候変動枠組条約の締約国が集まり、環境問題について国を超えてさまざまな議論が行われる国際会議です。COPの原点は、1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された、通称「地球サミット」(正式名:環境と開発に関する国際連合会議)です。当時の国連加盟国のほぼすべてである172カ国が参加したこの会議の中で国連気候変動枠組条約が締結され、この条約にもとづいて1995年以降、定期的にCOPが開催されています。
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京都議定書・パリ協定との関連
国連気候変動枠組条約の大きな目的は、大気中のCO2などの温室効果ガス濃度を安定させることと、地球温暖化がもたらす悪影響を防止することです。そのため、すべての締約国は温室効果ガス排出量と吸収量を記録すること、そしてその削減に向けた計画を作成・実行することが義務付けられています。
1997年のCOP3では「京都議定書」が採択され、先進国に対して2020年までの温室効果ガス排出削減の目標が定められました(締約国数:192カ国・機関)。2020年以降の目標については、2015年にパリで開催されたCOP21で採択された「パリ協定」が引き継いでいます。京都議定書は先進国のみを対象としているのに対し、パリ協定は途上国も含めた加盟国すべてに温室効果ガスの削減義務がある点が異なります。
現在では、パリ協定が定めた「世界の気温上昇を産業革命前と比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」目標を世界共通の枠組みとして、COPにおいて地球温暖化防止・環境保全のためのさまざまな議論が実施されています。
COP29の主な論点
COP29では、以下3つの論点などが話し合われました。
・気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)
・パリ協定第6条市場メカニズム
・適応、ロス&ダメージ
それぞれわかりやすく解説します。
気候資金に関する新規合同数値目標(NCQG)
NCQG(New Collective Quantified Goal)とは、先進国が途上国に対して提供する気候変動に関する資金の2025年以降における金額目標を指す言葉です。NCQGをめぐっては、2009年のCOP15において2020年までに先進国から途上国に年間1,000億ドルの資金を動員するという目標が掲げられました。しかし、実際の2020年実績は833億ドルと目標に届かない結果となり、達成時期は2025年に延長されています。
今回のCOP29では2025年以降の金額目標について話し合われ、途上国からの要望を汲んで「2035年までに少なくとも年間3,000億ドルの資金動員」を決定しています。引き続き公的な資金源と民間の投融資資金の誘導を進め、合計で年間1兆3,000億ドル以上の資金供給につなげるため、先進各国が共に行動することを求める旨が決定されました。
パリ協定第6条市場メカニズム
パリ協定では、すべての国が温室効果ガスの排出削減目標(NDC)を定めることが規定されていますが、その中でも第6条においては、各国がNDCを達成するために国際的な炭素取引(国際的な排出削減クレジットの移転)や、多国間の協力的アプローチを可能にする枠組みを提供しています。
COP29では、国際的に協力した温室効果ガス削減・除去対策を実施するパリ協定6条の完全運用化に向けた議論が交わされました。温室効果ガスの削減・除去量をクレジット化して分配するうえで必要な、締約国政府による承認や非市場アプローチのウェブ・プラットフォームの運用など、今後の具体的な活動実施計画が決定されました。
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適応、ロス&ダメージ
適応とは、すでに表面化している、または中長期的に見て避けられない気候変動の影響について、人間が行う活動を見直し被害を最小限に食い止めつつ、気候の変化を利用する取り組みです。
適応に関する世界目標(GGA)とは、COP28において採択された、気候変動に適応するためのグローバルな目標です。パリ協定7条1項では、1.5℃目標の実現のために各国に対し「気候変動への適応に関する能力の向上並びに気候変動に対する強靱性の強化及びぜい弱性の減少」を求めています。
気候変動の影響とその対策は国や地域の事情によっても大きく異なることから、適応策において各国の数値目標を立てるのは難しいと言われてきました。一方で、GGAをより具体化すべきとの声も以前からあり、今回のCOP29では気候変動への適応の進捗を測定するための指標に関し追加的な指針が決定され、ハイレベル対話開催を含むバクー適応ロードマップの立ち上げも決定しました。
そしてロス&ダメージとは、気候変動により発生した悪影響が引き起こす損失・損害を指します。特に気候災害(干ばつ・洪水・豪雨・海面上昇による土地の消失など)は喫緊の課題です。日本はCOP27において「日本政府の気候変動の悪影響に伴う損失及び損害(ロス&ダメージ)支援パッケージ」を公表し、途上国の防災リスク軽減のための技術的支援などを進めることを決定しました。
COP29では、ロス&ダメージに対応するためのワルシャワ国際メカニズム(巨大台風などの気候変動の悪影響に関する損失・損害に対処する国際組織)の報告書レビューと議論が行われましたが、結論には至らず、今後も方向性の検討を継続することとなりました。
COP29以降に議論が必要な課題
COP29以降に議論が必要なものとして、主にグローバル・ストックテイクと途上国への資金支援の課題が挙げられます。以下ではこの2つについて議論の内容を紹介します。
グローバル・ストックテイク(GST)
GSTとは、2015年のCOP21で採択されたパリ協定の1.5℃目標達成に向けた、世界全体の進捗を評価する仕組みです。パリ協定の発効以降、2023年12月のCOP28では初めてGSTが実施され、以降5年ごとに評価が行われる予定となっています。
GSTに関しては2021年から情報収集が開始され、「技術対話」と呼ばれる会議を計3回、そして2023年9月には技術対話の結果をまとめた報告書が公表されました。COPでは世界各国がこの報告書に対する議論を行い、今後必要となる対策を合意します。
COP28では初めて「化石燃料からの脱却」と「2030年までに世界全体で再生可能エネルギー設備容量を3倍に、エネルギー効率改善率を2倍にする」ことが合意されましたが、今回のCOP29ではそれよりも踏み込んだ議論はなされませんでした。この背景には、世界各国から「具体的な脱炭素対策を立てるべき」との声もあり、次のCOPに議論が持ち越されることとなり、注目が集まっています。
途上国への資金支援について
COP29では「先進国から途上国へ2035年までに年間3,000億ドル」という支援金額が決まったものの、途上国からはそれでは不十分との声もあります。実際に今回のCOP29でも途上国の合意が得られず、会期を延長してまで議論がなされましたが、途上国から見れば未だ不満の残る内容となりました。
温室効果ガス排出削減や、気候変動に対応するために資金は必要不可欠です。途上国を含めた世界各国が野心的な削減目標を掲げるには、資金面でのバックアップがあるという前提が必要となります。途上国の資金が不足することは、パリ協定の1.5℃目標を全世界で実施するうえでは障壁となる可能性も示唆されています。
2025年1月にはアメリカのトランプ政権が発足し、パリ協定からの脱退を表明しました。パリ協定の規定に添い、脱退宣言から1年後の2026年以降、アメリカはパリ協定締約国から外れます。この離脱に伴う国内外への影響や温暖化対策の後退が懸念されていますが、アメリカ国内では引き続きパリ協定に沿った温暖化対策を進めると宣言する州もあり、今後の動向が注目されます。
まとめ
COP29は、地球温暖化対策を世界規模で議論する重要な国際会議であり、途上国支援の強化やパリ協定第6条市場メカニズムの実施計画立案などが主な議題となりました。パリ協定の1.5℃目標達成に向けては、各国政府だけでなく企業・自治体などの役割も重要視され、脱炭素社会の実現に向けた具体的なアクションが求められます。気候変動対策は企業の経営戦略やビジネスにも影響を及ぼすため、今後も国際的な気候変動対策の取り組み内容を把握し、自社の取り組みに活かすことが重要です。