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企業の脱炭素経営・CO2削減はどう取り組む?具体例を解説
SDGsや地球温暖化対策が注目される中、企業にも脱炭素のための取り組みが求められています。けれども「脱炭素という言葉が何を指すのか、どういう流れで進めればよいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では企業が脱炭素経営やCO2削減活動で取り組むべき内容や取り組むことで得られるメリット、取り組まないことで起こりうるリスク、実際の事例について紹介します。
目次
企業の脱炭素とは?
脱炭素とは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの企業活動における排出を実質ゼロにしようという取り組みです。地球環境を守る動きは広く推進され、企業に対しても脱炭素に向けた施策が求められるようになりました。脱炭素経営とは具体的に何を指すのか、また社会で注目を集める背景について解説します。
近年注目を集める「脱炭素経営」とは
脱炭素経営とは、温室効果ガスの排出を実質ゼロに近づけるために、企業活動全体でさまざまな取り組みを実施することです。地球の気候変動に対応した企業戦略と目標を立て、実行に移すことはグローバル市場では当然の流れになってきました。日本国内でも、組織の規模にかかわらず脱炭素経営を表明する企業は年々増えつつあります。
脱炭素経営が求められる背景とは
日本国内で企業の脱炭素経営が加速したのは、2020年の第203回国会で当時の菅内閣総理大臣が「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことがきっかけです。日本政府の方針の中には産業構造の改革も盛り込まれたことから、企業の脱炭素経営への具体的な取り組みがますます注目されるようになりました。
出典)第二百三回国会における菅内閣総理大臣所信表明演説
また、2015年に採択されたパリ協定では「世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力をすること」を世界共通の長期目標として掲げています。さらに、近年は持続可能な社会を目指すSDGsの活動も注目度が上がっており、再生可能エネルギーの活用など脱炭素に関連する対策が社会のスタンダードとして徐々に浸透しています。
企業が脱炭素に取り組むメリット
企業が脱炭素経営に着手することで得られるメリットは、主に3つあります。
企業のイメージアップによる競争力の強化
環境保護や気候変動への対応は、個人も企業も関心の高い事柄です。企業が脱炭素経営を実現するために具体的なアクションを策定し実行に移せば、社会的に大きなイメージアップにつながります。消費者にとっては、数ある競合の中から自社の製品やサービスを選ぶ動機の一つとなり得るでしょう。
長期的にみてコストを削減できる
脱炭素経営に踏み切るには、自社の設備や輸送手段などを省エネルギーなもの、温室効果ガスの排出が少ないものに置き換える必要があります。その過程では、一時的に設備導入コストがかかる場合もありますが、長期的にとらえれば燃料費や光熱費などは削減できます。また、国や自治体の補助金を活用すると設備導入コストの一部軽減につながります。
国や自治体の補助を受けられる
脱炭素経営を広く企業に浸透させることを目的に、国や自治体ではさまざまな支援制度を設けています。脱炭素に向けた設備投資はもちろん、社内人材の育成やCO2排出・削減量の算出にかかる費用などを補助する取り組みです。企業にとっては自社の負担を少なく抑えて脱炭素の取り組みを開始でき、その後も温室効果ガスの継続的な削減が期待できます。
環境省の令和4年度補正予算では、工場・事業場における脱炭素化のロールモデルとなる取り組みを支援する事業が実施されました。中小企業の工場などのCO2削減目標策定を上限100万円として支援することや、CO2排出の少ない設備への更新については上限1億円を補助しています。
企業が脱炭素の取り組みをしない場合のデメリット
企業が脱炭素経営をしない場合、いくつかのデメリットがあります。
取引先との機会損失や金融機関の評価損失
大手企業を中心に、自社の経営に関わるステークホルダーやサプライヤーにも脱炭素の取り組みを推進する動きが広がりを見せています。脱炭素の取り組みをしないことで、こういった社会の流れに取り残されてしまい、最悪の場合は取引の機会損失を招きかねません。また金融機関からの融資や機関投資家からの資金調達においても、環境への取り組み内容を評価に反映する事例が増えてきました。地球温暖化や気候変動に対応し、長期的な環境課題を見据えた経営は今や必須となりつつあります。
イメージダウンによる採用への影響
社会全体での環境保護活動やSDGsへの意識の高まりは、採用の場面にも影響を与えています。2020年に株式会社日本総合研究所が全国の中学生、高校生、大学生1,000人を対象に実施した調査によると、「環境問題や社会課題に取り組んでいる企業で働く意欲」について、47.2%の若者が「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えました。これだけ多くの若者が環境問題に高い意識を持つ中で、もしも脱炭素の取り組みに乗り遅れると企業イメージがダウンし、人材確保に苦戦する可能性があるといえるでしょう。
出典)株式会社日本総合研究所 若者の意識調査(報告)― ESGおよびSDGs、キャリア等に対する意識 ―
脱炭素に向けて企業が取るべき3つのステップ
脱炭素経営を実現するために企業が取るべきステップは3つです。
- STEP1:CO2排出量の見える化
- STEP2:ロードマップ策定
- STEP3:脱炭素の取り組み実践と定期的な見直し
それぞれ詳しく解説します。
STEP1:CO2排出量の見える化
脱炭素経営に向けての取り組みをする前に、現状ではどの程度のCO2を排出しているかを把握する必要があります。特に重要なのは、自社の事業活動や設備はもちろん、サプライチェーンまで含めた棚卸しをして、企業活動全体で横断的にCO2排出量を把握・共有することです。そのためには、現場だけでなく経営層の理解と力強い推進が欠かせません。この段階でしっかりとCO2排出量を見える化できれば、この後の計画立案と実行が格段に進みやすくなります。
STEP2:ロードマップ策定
STEP1で把握したCO2排出量について「いつまでに、どのくらい減らすのか」を目標設定し、ロードマップ化します。自社だけでは具体的な目標の立案が難しい場合は、脱炭素経営をサポートするサービスやソリューションの専門企業に相談するのも一つの方法です。一度に大幅な温室効果ガス削減を目指すのではなく、まずは手の届く範囲から始めて、徐々に脱炭素経営実現に向けてステップアップする計画を立てると良いでしょう。
STEP3:脱炭素の取り組み実践と定期的な見直し
ロードマップに沿って、脱炭素の取り組みを実行します。取り組みは単純に形にするだけでなく、定期的に成果を確認してPDCAサイクルを回すことが重要です。
また、サプライチェーン全体の脱炭素を短期的に実施するのが難しかったり、小売業においてはテナント店舗を再エネ電源に切り替えられないといった状況もあるでしょう。このように、 自社の取り組みだけでは削減が難しい場合の短期的な手段の一つに「環境証書の購入」があります。環境証書とは、企業の経営活動で排出される温室効果ガスを埋め合わせるために購入する排出権のことで、「クレジット」とも呼ばれます。
自然電力株式会社では、J-クレジットや非化石証書などのクレジット購入を支援するサービスを提供しています。より具体的な脱炭素の取り組みをおこなうために、クレジットの種類や導入方法について詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。
企業の脱炭素の取り組み事例
脱炭素に取り組む企業の事例をご紹介します。
キッコーマングループ
キッコーマングループでは、CO₂の排出量を2030年までに30%以上削減(2018年度比)する目標を掲げ、さまざまな取り組みを進めています。再生可能エネルギーの活用、生産部門では機器の更新や製造工程の見直し、物流部門では倉庫の集約と低燃費・低排出ガス型のトラックの導入などの施策を推進しています。
トヨタ自動車株式会社
トヨタ自動車は、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を発表しました。2050年までに、部品・車両の製造、物流、車の走行、リサイクルといったすべてのライフサイクルにおいて、CO2排出量ゼロを目指しています。工場や車自体から出るCO2を極限まで減らし、自動車が地球環境に与えるマイナス要因を最大限に減らすための取り組みです。
佐川急便株式会社
佐川急便では、環境に配慮した輸配送を実現するため、1990年代から環境対応車の導入を進めています。業界内で先駆けて導入された天然ガストラックや電気自動車の割合は年々増加しつつあり、同時に全国23か所の大型集約施設の整備とエコドライブの推進によって脱炭素社会の実現に貢献しています。
まとめ:身近な取り組みから企業の脱炭素を始めよう
脱炭素経営は世界中で推進されている取り組みであり、企業が長期にわたって持続可能なビジネスモデルを確立し、円滑な資金調達や人材採用のためにも欠かせないものです。ご紹介した3つのステップに従って、まずはCO2排出量を可視化して自社の状況を把握し、具体的な実践方法のロードマップを策定し、実践と定期的な見直しを行いましょう。実践の際には、まずは省エネを意識させる取り組みやプラスチック製品の使用を控える・リサイクルを推進するなどの身近な取り組みから始めて、環境問題への意識を高めながら、より高い目標を目指すのがよいでしょう。