GECとは?I-RECとの違いは?中国政府の環境証書を解説

2024年9月、国際的に認められている環境証書「I-REC」が中国国内で発行されなくなるという通知が公表されました。そこで注目を集めているのが中国の発行する環境証書「GEC」です。GECの概要、他制度との比較、仕組みや課題などについて詳しく解説します。

GECとは?

GEC(Green Electricity Certificate:グリーン電力証書※1)は、中国の国家再生可能エネルギー情報管理センター(NREIMC)が評価・発行する環境証書です。主に中国国内の企業が購入し、グリーン電力(再生可能エネルギー)消費を宣言するために使用されます。

※1 本記事中の「グリーン電力証書」は中国国内で発行されるものを指します。日本国内において一般財団法人 日本品質保証機構(JQA)が運営する「グリーンエネルギー認証制度」の制度化で発行される環境証書「グリーン電力証書」とは異なります。

GECが注目される理由

  • 中国国内で高い信頼性がある
  • RPS制度に対応できる
  • RE100に承認されている(条件あり)

GECが中国国内で注目されている理由は3点あります。GECは中国政府が再生可能エネルギー普及を目的に設けた公式制度です。中国国内で再エネ属性証明を図るうえで、高い信頼性を有しています。
また、中国企業は政府が設定したRPS(Renewable Portfolio Standard)に対応する必要があります。RPS制度は電力会社に対して一定割合の再生可能エネルギーを利用(発電や購入)することを義務付けるものです。RPSを満たす環境証書はGECのみとなります。さらに、GECはRE100※2にも条件付きで承認されていることから注目が高まっています。

※2 RE100は事業で使用するエネルギーを100%再生可能エネルギー由来にするための国際的な取り組みです。

GECの基本ルール

GECの運用において、市場の公平性や信頼性を維持するために基本ルールが設定されています。ルール制定の主な目的は、システムの透明性確保、ダブルカウンティングの防止、市場の健全化です。

GECの価格は市場原理で決定されますが、過剰な価格高騰を抑制するために「合理的な上限価格」が設けられています。不当な価格競争や過度な高騰を防ぎ…

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