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グリーンウォッシュとは?問題点や規制の現状、回避する方法を解説
近年では、投資への意思決定プロセスに環境・社会・ガバナンスを考慮するESG投資にますます注目が集まっています。そのような中、投資家も被投資企業「グリーンウォッシュ」に気をつけるべきという声が出ていることをご存知でしょうか?
本記事ではグリーンウォッシュの概要や問題視される理由、規制の動きや問題回避のためにできることを解説します。脱炭素施策の実施において、グリーンウォッシュと見なされないためのポイントもご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
目次
グリーンウォッシュ とは
グリーンウォッシュとは、見せかけの環境保護対策のことであり、企業広告や企業の姿勢などを批判する文脈で使われる造語です。グリーンウォッシングと呼ばれることもあります。
ここでは、グリーンウォッシュの定義や6つの分類について見ていきましょう。
グリーンウォッシュの定義
グリーンウォッシュの定義は、「環境保全への配慮を実態以上に見せかける行為」です。「環境への配慮」や「エコ」をイメージさせる「グリーン」と「ごまかす」「粉飾する」という意味の「whitewash」の「ウォッシュ」を組み合わせた造語で、米国の環境活動家ジェイ・ヴェステルフェルトが1986年に使い始めました。
環境保全やサステナビリティに配慮していると表明しているものの、実際に実践している内容は違うという批判的な意味合いで使われています。広告効果や税制面での優遇措置を狙うあまり、科学的な根拠に基づかないエコやエシカルの表現を用いてしまう活動は見せかけ、つまりグリーンウォッシュと見なされるわけです。
たとえ悪意がなくても科学的な根拠や思慮不足のために環境保全の観点からみて的外れな取り組みをしている場合もグリーンウォッシュと見なされることがあるので注意しましょう。
グリーンウォッシュの6つの分類
2023年1月に非営利の金融シンクタンクPlanet Trackerが発表したレポートによると、グリーンウォッシュは次の6つに分類されています。
分類 | 概要 | 事例 |
グリーン・クラウディング |
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グリーン・ライティング |
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グリーン・シフティング |
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グリーン・ラベリング |
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グリーン・リンシング |
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グリーン・ハッシング |
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出典:Planet Tracker|Greenwashing Hydraを参考に編集部が作成
なぜグリーンウォッシュは問題視されるのか
ここでは、ビジネスの現場においてグリーンウォッシュの何が問題視されているのか考えてみましょう。主に次の3つが問題点として挙げられます。
- 消費者を惑わし、正しい選択を阻害する
- 投資家の出資の意図を欺くことになる
- グリーンウォッシュの払拭が困難で企業イメージが低下する
ではそれぞれについて見ていきましょう。
消費者を惑わし、正しい選択を阻害する
環境保全の取り組みを行っている商品・サービス、あるいは企業・ブランドを好んで選択する消費者もいます。そのためグリーンウォッシュは消費者を惑わし、正しい選択を阻害する行為として問題視されているのです。
サステナブルを謳う商品パッケージや広告・宣伝のイメージだけで「環境に良さそう」と判断し、購入を決める消費者がほとんどではないでしょうか?見せかけのグリーンウォッシュを価値のある環境保全活動だと思い込み、商品を購入してしまうケースが後をたちまません。
投資家の出資の意図を欺くことになる
グリーンウォッシュは、投資家の「環境保全に有効な取り組みをする企業に投資することで、リターンを得たい」という出資意図を欺くことになりかねません。見せかけの環境保全への配慮をうたう企業では、長期的に見るとリターンを見込めない可能性があるからです。
ESG投資やグリーンボンドといった投資市場が生まれていることから、サステナブル関連の金融商品への投資家のニーズが高まっています。しかし巧妙化したグリーンウォッシュの手口を見抜けずに、投資してしまう可能性もあるでしょう。
このように企業が自社の商品や活動が与える環境への影響について誤解を招く、あるいは根拠がない主張をすることで投資家を惑わすことが問題視されているのです。実際に海外では、ESG関連の金融商品の透明性を高めるための規制が始まっています。
グリーンウォッシュの払拭が困難で企業イメージが低下する
グリーンウォッシュを行う企業というイメージが一度ついてしまうと、取引先や顧客をはじめとする社会的な信用を失いかねません。さらに働く従業員のモチベーションも低下する可能性があります。
エビデンスをもとに環境への配慮が説明できないとなると、「グリーンウォッシュ」に相当する行為をしたという企業イメージを払拭するのは難しいでしょう。
世界のグリーンウォッシュ規制の動き
欧州ではグリーンウォッシュに終止符を打つために、規制に向けた動きが活発化しています。欧州委員会は2023年3月22日、環境訴求指令(Green Claims Directive)案を発表しました。この法案が施行されると、企業は「環境に配慮している」とアピールをするにあたり、科学的な裏付けを提供するよう求められることになるのです。
また豪州では、証券投資委員会(ASIC)がグリーンウォッシュに相当する行為をした企業に対して罰金を科したとニュースになりました。実際にASICは、2023年5月にメディアリリースで、該当企業のSNSへの投稿が環境へのプラスの影響を誇張し、誤解を招く恐れがあった経緯などを公表しています。
一方、日本では現在までのところ(2023年8月時点)、強い規制は存在しません。ただし環境省は「グリーンボンドガイドライン」を公表しています。これは調達資金が適正に環境事業に充当されていない、実際には環境改善効果がない、あるいは不正に水増しされているような債券が、グリーンボンドとして市場に出回ることを防止することなどを目的としたものです。
企業がグリーンウォッシュ回避のためにできること
ここでは、ビジネスにおいてグリーンウォッシュを回避するための対策について見ていきましょう。企業としては、国際的なイニシアティブや第三者機関が公表している客観的な基準に沿って目標設定を行い、実行・開示していくことが最も重要です。また、どのような企業活動やマーケティング戦略が「グリーンウォッシュ」とみなされているのか認識することも必要です。
では、それぞれについてご紹介します。
客観的な評価基準・目標設定に基づいた施策を実行する
環境に配慮していることを前面に打ち出すために、脱炭素施策に取り組みたいと考えているの企業様も多いのではないでしょうか。グリーンウォッシュと見なされないためには、きちんとした評価基準・目標設定に基づいた脱炭素施策に取り組むことが重要だといえます。
例えば、脱炭素施策であれば、SBT(Science Based Target)のような目標設定フレームワーク、RE100や再エネ100宣言 RE Actionのような各種イニシアティブが提示するコミットメントなど、客観性のあるフレームワークに沿って行動することで、 投資家や消費者といった情報開示をされる側からの理解を得やすくなるでしょう。
【関連記事】 CO2削減の取り組みにかかせないSBTとは?必見のポイントを解説 |
「グリーンウォッシュの7つの罪」に注意する
上述の通り、客観的な評価基準・目標設定に基づいた施策を実行する上で、どのような行為がグリーンウォッシュと見なされるのかについても把握することが大切です。アメリカの第三者安全科学機関のULソリューションズが公開している「Sins of Greenwashing(グリーンウォッシュの罪)」の7つの罪などを参考にするとよいでしょう。
罪の種類 | 罪の概要 |
隠れたトレードオフの罪 | 限られた属性に基づき自社製品が環境にやさしいと示唆するものの、大きな環境負荷が発生するような悪い側面は公表しない |
証明を示さない罪 | 信頼できる第三者認証によって裏付けを取らずに「環境に良い」「サステナブルである」と主張する |
あいまいさの罪 | 例えば「オールナチュラル」に見られるような、定義があいまいな表現を使用することで消費者の誤解を招く |
偽りのラベルを表示する罪 | 第三者機関による認証が存在しないにもかかわらず、言葉や画像を通じてそのような印象を与える |
的外れの罪 | 真実かもしれないが、環境に優しい製品を求める消費者にとっては重要ではない、または役に立たない環境に関する主張をする |
2つの悪を比べてましなほうを宣伝する罪 | 「燃費が良いSUV」「オーガニックタバコ」など、製品カテゴリー内では真実かもしれないが、主張自体がそのカテゴリー全体がもたらすより大きな環境へのインパクトから消費者の注意をそらす危険性がある |
捏造する罪 | 省エネ関連の認証を取得していないのに「認証取得済み」として広告や公式発表を捏造する |
出典:UL Solutions|Sins of Greenwashingを参考に編集部が作成
実効性の高い取り組みでグリーンウォッシュを回避
企業としては「気づかないうちにグリーンウォッシュを行っていた」という事態を回避するために対策を講じる必要があります。グリーンウォッシュ回避のポイントは、客観的な 評価基準・目標設定に基づいた実効性の高い脱炭素施策に取り組むという点です。
取り組みを実践する中で「自社の行動を評価すること」も重要になります。自然電力では、カーボンニュートラルの実現へ向けた各種イニシアティブ基準の報告・情報開示サポートサービスを提供しております。脱炭素施策に関することは弊社までご相談ください。
【参考】