インドネシアでの環境証書の活用:日本企業がI-RECを導入するメリットを解説

インドネシアは東南アジア最大の経済規模を誇り、今後も力強い成長が期待される国の一つです。そのインドネシアは、グリーン経済への移行を国家戦略として掲げています。日本企業はインドネシア市場でI-RECを導入することで、再生可能エネルギー利用による環境対策のPRだけでなく、サプライチェーンの脱炭素化によるビジネスチャンスの維持・拡大を図ることができます。

今回はインドネシアのエネルギー事情、I-REC導入の背景、日本企業がインドネシア市場でI-RECを導入するメリットについて解説します。

インドネシアのエネルギー事情

インドネシアは人口増加に伴う経済成長の中にあり、エネルギー需要も大きく伸びています。そのエネルギー需要を支えるのがインドネシアの豊富なエネルギー資源です。インドネシアは世界最大の石炭輸出国であり、輸出による外貨獲得の他、自国での石炭や天然ガスの活用はインドネシアの高度経済成長を支える原動力となっています。一方で、化石燃料への依存は国家的な課題になっているのも事実です。

経済成長に伴うエネルギー需要の増加

近年のインドネシアの経済成長は堅調といえます。2024年の実質GDP成長率は5.03%と、3年連続で5%を超えました。

このインドネシアの経済成長とともに、エネルギー需要も大幅に増加しています。2023年の最終エネルギー消費量は12億3,700万BOE(※)に達し、過去6年間で最大の需要を記録しました(前年比6.29%増加)。最大の消費源は、産業部門(5億5,600万BOE、全体の45.6%) と 輸送部門(4億4,800万BOE、36.7%) です。これらの分野での石炭・天然ガス・電力の需要が急増しています。

これからも人口増加やインフラ開発の拡大によってエネルギー需要は伸び続けると予想されており、電力供給の整備は急務となっています。

※BOE(Barrel of Oil Equivalent)は、1バレル(約159リットル)の原油が持つエネルギー量(約580万BTU = 6.12 GJ)を基準に、他のエネルギー源の量を換算する単位です。

依然として高い化石燃料への依存

2023年にインドネシアの一次エネルギー供給量は、18億5,300万BOEにまで上昇しました(前年比1.55%増加)。エネルギーミックスの中では石炭が39.7%を占め、次いで石油(29.9%)、天然ガス(17.1%)、再生可能エネルギー(13.3%)となっています。再生可能エネルギーの比率は増加傾向にあるものの、依然として化石燃料への依存が続いています。

インドネシアでI-RECの導入が進む背景

経済成長と環境保護の両立

インドネシアのI-REC導入には、経済成長と環境保護を両立させる狙いがあります。インドネシアは2045年までに先進国入りを目指しています。2024年にはOECD(経済協力開発機構)への加盟協議を開始しました。これからインフラ整備の強化、経済の多様化を通じて多くのエネルギー需要が…

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