お気軽に
お問い合わせくださいContact
脱炭素施策に役立つ資料を
お届けしますDownload
脱炭素社会の実現に向け、フィリピンでも再生可能エネルギーの導入が国家戦略として本格化しています。企業にも、サステナビリティレポートやサプライチェーン全体での環境コンプライアンスなどが求められるようになりました。
こうした中、注目されているのが再エネ使用を国際的に証明できる環境証書「I-REC」です。
本記事ではフィリピンが再エネ導入を進める背景、国家としてのGX戦略、日本企業がI-RECを導入することで得られる具体的なメリットを解説していきます。
I-RECとは?
I-REC(International Renewable Energy Certificate)は、60カ国以上で発行・利用されている国際的な再生可能エネルギー電力証書です。この証書には、電力の再エネ属性(発電方法・発電場所)が記録されています。企業はI-RECを購入・保有することで、自社が消費した電力のうち、一定量が再生可能エネルギー由来であることを書面で証明できるのです。
2015年からI-REC Standard Foundation(オランダ)による運用が開始され、その後RE100やCDP、SBTといった国際イニシアティブに対応可能な証書として世界的に活用が広がっています。
経済成長の続くフィリピンと環境問題
フィリピンは近年、堅調な経済成長を続けています。2023年の実質GDP成長率は5.5%、2024年は5.6%でした。この成長の背景には、積極的な外資誘致(製造業をメイン)と労働人口の増加があります。総人口は約1億1,680万人ですが、平均年齢は26歳程度と若いため、これからさらなる成長も期待できます。
電力需要の拡大
経済成長と人口増加に伴い、フィリピンの電力需要は急速に増加しています。国内の年間発電量は、2012年(約7万2,900GWh)から2023年(11万8,000GWh)にかけて60%以上の伸びを見せています。また、電力需要の増加は産業分野だけではありません。家庭部門の電力需要も高まっています(2022年時点で28%以上を占有)。
その一方で、電力インフラの整備は需要の伸びに追いついていません。需要をカバーしようと火力発電に頼りすぎているという声もあります。2023年時点で石炭火力発電の割合は総発電量の60%以上です。さらに、IEAはフィリピンの石炭消費量が2026年にかけてさらに増加すると予想しています。
環境問題への注目
フィリピンは気候変動の影響を最も受けやすい国の一つとされています。ドイツの国際援助団体「Bündnis Entwicklung Hilft」とルール大学ボーフム(Ruhr-Universität Bochum)がまとめた「World Risk Report 2024(世界リスク報告書)」では、フィリピンのリスク指数が3年連続で世界最悪(193カ国中1位)となっています。また、世界銀行は気候変動対策を講じなければ、2040年までにフィリピンの経済成長率が13.6%程度押し下げられるとの見通しを発表しています。このため、フィリピンは国としてGXを推し進めているのです。
フィリピンのGX戦略
フィリピンにとって、GXの推進は経済と社会のサステナビリティを左右する国家的取り組みといえます。政府は再生可能エネルギーの導入加速、環境価値の評価制度構築、そして国際的な投資連携を軸にGXを進めています。
エネルギーミックスの改善
フィリピンの電力供給の主力は石炭火力です。2023年時点での電源構成において、石炭の割合は約60%以上であり、再生可能エネルギーの比率は…
以下ご入力いただくと全文お読みいただけます。