RE100とは?脱炭素担当者必見の基礎知識をわかりやすく解説 | 自然電力の脱炭素支援サービス – 自然電力グループ

RE100とは?脱炭素担当者必見の基礎知識をわかりやすく解説

近年名前を聞く機会の増えたRE100は、脱炭素に取り組むなら必ず押さえるべきキーワードの一つです。

RE100とは、企業が加盟できる国際的なイニシアティブです。事業で利用するエネルギーを100%再生可能エネルギーにすることを目標とし、加盟した企業は、2050年までの自社が設定した期限までに、目標達成を目指すこととなります。

すでに81社(2023年7月現在)の日本企業が加盟して取り組みを行っています 。また、日本では環境省が2018 年に公的機関としては世界で初めてアンバサダーとして参画しています。

そこで今回は、RE100の概要や加盟の条件、メリット・デメリットや取り組みのポイントなどを解説します。世界的に注目度の高いRE100の基本を押さえ、脱炭素の施策に取り入れていきましょう。

脱炭素に取り組むなら知っておくべきRE100とは?

RE100は、Renewable Energy 100%(再生可能エネルギー100%)の略称で、事業で利用するエネルギーを、100%再生可能エネルギーにすることを目標とする国際的なイニシアティブです。同じように脱炭素を実際に推し進めるイニシアティブには、他にEP100、EV100などがあります。

RE100は、CDPとのパートナーシップの下、The Climate Groupが運営しており、日本では日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が地域パートナーになっています。

・CDP
企業、自治体などに対して、それぞれの環境インパクトに関する情報開示を促す国際NGO。

世界的に注目度が高く、日本からは81社(2023年8月現在)が参加し、その数は年々増加しています。世界全体では400社以上が参加しており、フォーチューン・グローバル500といった世界的に影響力のある大企業を含めて、さまざまな業界の企業が参加し、その合計売上額は6兆6000米ドルを超えています。。⽇本では建設業、電気機器、⼩売業が多く、世界的には⾦融業が最も多くなっています。

RE100に加盟している企業の一例

日本企業の例

・イオン
・エーザイ
・資生堂
・積水ハウス
・第一生命保険
・東急不動産
・日清食品ホールディングス
・TOTO                                            など

海外企業の例

・Apple
・AXA Group
・BMW Group
・Heathrow Airport
・The Goldman Sachs Group, Inc.
・The L’OCCITANE Group           など

出典:「RE100について」(環境省)

RE100で満たすべき要件や基準の例

企業がRE100に加盟するには、複数の要件や基準を満たす必要があります。

RE100で満たすべき要件や基準の例
対象企業の条件の一例
  • 年間の消費電力量が100GWh以上(日本では50GWh以上に緩和中)
  • 50GWh未満の場合は、RE100事務局が重視している地域における主要な事業者であること など
認定基準の一例
  • 目標とする年を宣言し、再生可能エネルギー100%利用を達成またはコミットする など

対象となる企業

RE100の加盟対象となるのは、年間の消費電力量が100GWh以上(日本企業では50GWh以上に緩和中)の企業です。

ただし、年間の消費電力量が100GWh未満(日本企業では50GWh未満)の場合でも、次の条件を1つでも満たしていれば、加盟できる可能性があります。

  • RE100事務局が重視する地域・業種の主要な事業者である
  • RE100事務局が 重視する地域で政策提言に参加する意思がある
  • フォーチュン1000やそれに相当する主要な多国籍の企業である
  • グローバルまたは国内で、認知度や信頼度が高い企業である など

なお、化石燃料、航空、軍需品といった業種にのみ該当する企業は参加することはできません。その他にも業種によって満たすべき要件が設定されている場合があります。

なお、RE100の参加要件を満たさない中小企業などについては、国内では「再エネ100宣言 RE Action」の加盟を推進しています。

「再エネ100宣言 RE Action」とは、日本国内の企業や自治体・教育機関などを対象とする、使用電力の100%を再生可能エネルギーにするための枠組みです。再生可能エネルギー使用を100%にする支援や情報発信も行っているので、積極的に活用しましょう。

 認定の基準

RE100の認定を受けるためには、目標とする年を宣言した上で、事業における再生可能エネルギー100%利用を、達成または達成に向けた取り組みをする必要があります。

この目標年を設定するにあたっては、以下の2つのルールを満たす必要があります。

【RE100の目標年の設定のルール】

  • 遅くとも2050年までには、再生可能エネルギー100%を達成する
  • 中間目標として、2030年までに60%達成を、2040年までに90%達成を、それぞれ目標として定める必要がある

なお、再生可能エネルギーにする対象は、GHGプロトコルで定義されている発電に関するScope1と、すべての電力に関するScope2です。

【関連記事】
GHGプロトコルとは?Scope1~3 や取り組むメリットを解説

再生可能エネルギーの主な調達方法

再生可能エネルギー100%の目標を達成するためのエネルギー調達方法としては、大きく分けて自家発電と電力の購入の2種類があります。

RE100の再エネ調達方法の例

自家発電
  • 自社が保有している設備で発電をする
電力の購入
  • オンサイトやオフサイトで直接調達する
  • 再エネ由来電力メニューを契約する
  • 再エネ電力証書を購入する など

なお、2024年1月からは 新たな基準が設けられるので注意が必要です。例えば、「小売事業者から購入する場合は、運転を開始して15年以内の設備に限る(=15年ルール) などの要件が追加されます。

環境省によると、2020年時点で自家発電を調達手段としているのは全体の3%です。そして40%は再エネ電力証書、28%は契約による直接調達(PPA)、24%は再エネ由来電力メニューの契約と、大半が自家発電ではなく外部購入によるものです。

以下では     外部からの電力の購入によって調達するケースについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

オンサイトやオフサイトで直接調達する

自社の敷地内に設置した他社所有の再生可能エネルギー設備(オンサイト)や、他社が敷地外に設置している他社所有の再生可能エネルギー設備(オフサイト)から購入する電力を、RE100の目標達成に利用できます。

自営線経由や電力会社の送配電網経由で、再生可能エネルギーを直接調達することが可能です。一般的に長期契約に向いています。また、上記の「15年ルール」が適用免除される場合もあります。

再エネ由来電力メニューを契約する

直接調達ではなく、電気の小売電気事業者から再エネ由来電力メニューを契約することも可能です。

再エネ由来電力メニューは、再エネ電力証書などを組み合わせた電気料金メニューとして設計されています。

再エネ電力証書(環境証書)を購入する

再エネ電力証書とは、再生可能エネルギーの環境価値のみを分離して、売買する仕組みのことです。環境証書を活用することで、電力の調達先を変えることなく、再生可能エネルギーの目標達成に近づくことができます。

なお、RE100で活用可能な環境証書は、例えば非化石証書ではトラッキング付きFIT非化石証書や非FIT非化石証書(再エネ指定)と電気をセットで調達する形態を選ぶ必要があるなど、使える証書に制約があることに注意しましょう。

【関連記事】
非化石証書とは?企業の脱炭素担当者必見のポイントを解説

RE100に取り組むメリット

RE100に取り組むことで、自社だけで検討したのでは解決しづらい再エネ調達の課題を、多くの企業と取り組み、ピアラーニングすることで、解決できるようになるほか、次のようなメリットがあります。

【RE100に取り組む主なメリット】

  • 気候変動がビジネスに与える影響を低減する
  • 燃料費の高騰リスクを回避できる
  • 投資家にアピールできる
  • 再生可能エネルギー市場規模拡大を促進できる

それぞれ、どのような利点なのか、順番に説明します。

気候変動がビジネスに与える影響を低減する

RE100に取り組むことは、気候変動に伴う悪影響から、ビジネスを守ることにつながります。気候変動に伴い、少雨や豪雨、台風といった自然災害が激甚化することによって、

・原料の調達ができず商品を製造できなくなる
・商品の輸送が難しくなる
・燃料の調達が難しくなる

などさまざまな影響が発生するからです。

実際に、日本でも気候変動に伴って農作物が不作となり、食品メーカーが主力商品を製造できなくなるといった事例も発生しています。

RE100に取り組み、脱炭素を進めて気候変動のリスクを減らすことは、将来にわたり安定してビジネスを継続することにつながるといえるでしょう。

燃料費の高騰リスクを回避できる

RE100の目標達成に向けた取り組みを通して、再生可能エネルギーの利用にシフトしておくことで、化石燃料の高騰に伴うコスト増のリスクを回避できます。

化石燃料を輸入に頼る日本においては、産出国の政情不安や戦争・災害などに伴う価格の増減の影響を、直接的に受けてしまうからです。企業が安定した経営をするには、エネルギーの価格変動を最小限に抑えることも欠かせません。

投資家にアピールできる

RE100に参加して再生可能エネルギー100%使用を目指し、環境に配慮した経営を実現していることを明らかにすれば、投資家へのアピールにもなります。

近年では、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の3要素を重視したESG投資への関心が高まっているからです。

名実ともに環境に配慮する企業になることで、資金調達がスムーズになり、成長のチャンスを多くつかめるようになるでしょう。

 再生可能エネルギー市場規模拡大を促進できる

多くの企業がRE100に参画し再生可能エネルギー100%の実現に取り組むことで、追加性の高い再生可能エネルギーの市場規模拡大を促進できます。

需要が増えれば、低価格化や、新たな技術の開発による供給の安定化の実現につながります。これによって、再生可能エネルギー調達価格を抑えることが可能になるでしょう。

RE100に取り組む際の注意点

RE100に取り組む際は、現行のRE100の基準に従って長期的な視点で取り組む必要がありますが、RE100の基準自体が変わってしまい対応に苦慮するケースがありますので、常に最新の動向を注視しながら取り組みを進める必要があります。

その他、以下の点にも注意が必要です。

【RE100に取り組む際の注意点】

  • 対象企業が限られている
  • まずは省エネに取り組んでからの切り替えを

対象企業が限られている

RE100は、年間の消費電力量が50GWh以上など、対象企業の条件があります。そのため、特に中小企業は、なかなか参加しにくい場合がある点に注意が必要です。

対象企業の条件を満たすのが難しい場合は、RE100同様、再エネ100%で事業活動を行うことを目指す日本国内のイニシアティブ「再エネ100宣言 RE Action(アールイーアクション)」への参加を検討しましょう。

まずは省エネに取り組んでからの切り替えを

RE100に参加する前に、まずは省エネに取り組むことが大切です。電力使用量を減らしてから、再生可能エネルギーへの移行を実施しないと、エネルギー調達にかかるコストが大きな負担となりかねないからです。

また、脱炭素や環境保全の趣旨からも、不要なエネルギー消費を削減することは欠かせません。

自然電力株式会社では、RE100や各種イニシアティブへの報告・情報開示のサポートや各種環境証書の購入を支援しています。より具体的な脱炭素の取り組みをおこなうためのソリューションについて詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。

まとめ

RE100とは、事業で利用するエネルギーを、100%再生可能エネルギーにする国際的なイニシアティブです。参画することで、気候変動がビジネスに与える影響の低減、燃料費の高騰リスク回避など、さまざまなメリットがあります。

RE100の対象企業に該当しない場合は「再エネ100宣言 RE Action」という選択肢もあるので、脱炭素の取り組みを効果的に進めたいと考えるなら、積極的に参加を検討しましょう。