人・企業・自治体を
応援するメディア「リプラス」

スマートシティの事例4選|推進される背景とポイントを解説

スマートシティとは、内閣府によると「ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society5.0の先行的な実験の場」と定義されています。

スマートシティに取り組むことで、
・効率的なエネルギーの供給や利用
・交通渋滞の解消
・災害に強いまちづくり
などの実現を目指せます。

このように、スマートシティは、さまざまな社会問題にまとめてアプローチできるため、多くの自治体や企業が取り組みを始めています。
今回は、その代表的な事例・取り組みを成功させるポイント・基本的な進め方などをご紹介しますので、参考にしてみてください。

01スマートシティの代表的な事例4選

さまざまな自治体や企業が取り組んでいるスマートシティの事例の中から、ここでは以下の4つをご紹介します。

スマートシティの代表的な事例4選
トヨタ ウーブン・シティ静岡県裾野市にトヨタ自動車が建設するモビリティの実証実験都市
SMART TOKYO LEADING AREA東京都のエリアごとにコンセプトを決めて、先端技術や5Gを活用したサービスを実装
FUKUOKA Smart EAST国立大学キャンパス跡地を活用し、産官学が連携してスマートシティ化を推進
スマートシティ会津若松ソーラーカーポートをスマートシティの都市OS(オペレーティングシステム)につなぐ実証実験などを実施

1. トヨタ ウーブン・シティ

トヨタ ウーブン・シティは、静岡県裾野市にトヨタ自動車株式会社主導で建設するモビリティやまちづくりの実証実験ができるスマートシティです。2024-2025年の第1期オープンを目指して準備が進められています。

ウーブン・シティでは、さまざまなパートナー企業と組み、
・自動運転・MaaSといったモビリティ分野
・太陽光発電や水素ステーションといったエネルギー分野
など、多岐にわたる12分野での実証実験を計画しています。

ただし、当初トヨタ自動車と並行して「SDCC(スソノ・デジタル・クリエイティブ・シティ)構想」を計画していた静岡県裾野市については、2022年9月に「SDCC構想」プロジェクトの終了を発表しました。主な理由は、実験が中心となり実用化が進まなかったためです。

自治体が企業の取り組みに参画する場合、どれだけ地域住民に還元できるのかが重要なポイントとなることがわかる事例といえるでしょう。

2. SMART TOKYO LEADING AREA

SMART TOKYO LEADING AREAでは、東京都内に都心部・西新宿・南大沢・ベイエリア・島しょの5つの先行実施エリアを指定し、先端技術や5Gを活用したサービスを重点的に実装しています。
エリアごとにコンセプトを決めて、それに合わせた技術やサービスを実装しているのが特徴です。一例を見てみましょう。

都心部リアルタイムデータやAIなどで、都市機能をアップデート
南大沢産学公連携と5G・先端技術で、アクセス性向上・まちの賑わい創出
島しょデジタル技術で生活環境の改善や産業振興、行政サービスの向上

この事例のように、その地域で解決すべき課題を明確にしてから進めることが、スマートシティに取り組むポイントといえるでしょう。

3. FUKUOKA Smart EAST

FUKUOKA Smart EASTは、国立大学のキャンパス跡地を活用したスマートシティの取り組みです。官民学が提携してモビリティ・ウェルネス・シェアリングをキーワードにスマートシティ化を進めています。

JR・地下鉄など3駅3路線を利用できるアクセス性の高い立地や、理工系の学生が多い都市の特性を活かしているのが特徴です。

現在、福岡市では、上記のキーワードに当てはまる技術の実証実験を行う企業の支援を行うなど、技術の実装や集約を推進しています。

スマートシティ化を進める際は、都市の強みを十分に活かせる立地選びなどが重要であることがわかる事例です。

4. スマートシティ会津若松

スマートシティ会津若松は、東日本大震災を契機として始まったプロジェクトです。「地域活力の向上」「市民生活の利便性向上」「市民との情報共有の促進」の3つの視点から、スマートシティの取り組みを行っています。

最近では、今注目のソーラーカーポートをスマートシティの都市OSにつなぐ実証実験などを実施し、デッドスペースを有効活用しながら、再生可能エネルギーを都市全体で利用する仕組みの実用化を目指しています。

スマートシティの取り組みでは、スペースの有効活用や環境負荷への配慮など、施策によって与える影響にも気を配ることが重要であることがわかる事例といえます。

02スマートシティの取り組みが必要とされる背景

さまざまな自治体・企業がスマートシティの取り組みを行っているのは、次のような都市や地域の課題を解決するための有効な選択肢の一つだからです。

スマートシティの取り組みが必要とされる3つの背景
1. 人口の大都市集中と地方都市の過疎化
2. 少子高齢化による労働人口の減少
3. SDGs実現の必要性

ここでは、上記のスマートシティが注目されている背景について、もう少し詳しく見ていきましょう。

1. 人口の大都市集中と地方都市の過疎化

スマートシティの取り組みが必要とされる背景には、人口の大都市集中と地方都市の過疎化によって、都市機能などに弊害が生じていることが挙げられます。これらの課題を解決する上で、スマートシティが有効です。

例を挙げると、人口が集中すれば、交通渋滞やエネルギー需要の増大・環境汚染など、さまざまな課題が出てくるでしょう。

そこで、スマートシティに取り組み、
・ICT・AIを活用して交通渋滞を予測・緩和させる
・デジタル技術やソーラーパネルで、クリーンエネルギーの仕組みを都市全体でつくる
などによって、これらの課題を解決することが可能です。

2. 少子高齢化による労働人口の減少

少子高齢化によって労働人口が減少していることも、スマートシティに注目が集まる要因の一つといえます。

スマートシティに取り組み、自動運転やドローン・ロボットなどを導入することで、輸送や物流・清掃といったさまざまなシーンで、人材の不足を補うことが期待できるからです。

また、リモートワークの浸透や業務のDX化が進みオンラインでできることが増えれば、住んでいる地域にかかわらず、さまざまな企業の戦力になれるようになります。これに伴い、都市部の人口集中を解消したり、地方への移住を促したりすることで地域の活性化につながる可能性も期待できます。

3. SDGs実現の必要性

SDGs実現の観点からも、スマートシティに取り組む必要性は高くなっています。スマートシティは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」をはじめとする複数のSDGs項目の達成に欠かせないからです。

SDGsの目標達成に関わる、スマートシティの取り組みの一例を見てみましょう。

目標11
「住み続けられるまちづくりを」
・データやAI活用による交通渋滞の緩和
・データやAI活用による精度の高い防災対策
目標3
「すべての人に健康と福祉を」
・オンライン診療
・データやAI活用による高齢者介助の拡充
目標13
「気候変動に具体的な対策を」
・ソーラーパネルやIoTなどによるクリーンエネルギーの効率的利用

03スマートシティに取り組むときのポイント3つ

スマートシティの取り組みを成功させるためには、押さえるべきポイントが3つあります。

スマートシティに取り組むときのポイント3つ
1. 持続可能性の確保
2. セキュリティやレジリエンシーの確保
3. 相互運用性の確保

それぞれ、どういうところがポイントとなるのか解説していきます。

1. 持続可能性の確保

スマートシティの取り組みを成功させるためには、運営や資金などの観点から、持続可能な仕組みをデザインする必要があります。ざっくりと言うと、環境への負担や資金負荷を最小化し、市民への恩恵を最大化することが大切です。

例えば、クリーンエネルギーを得るために、ソーラーカーポートのように駐車場の屋根上といった小規模の空きスペースを有効利用できる施策を選ぶことで、環境面や費用面での負荷は抑えながら、クリーンエネルギーを安定供給する仕組みが実現するでしょう。

近年、注目度の高いソーラーカーポートについて、詳しくは、以下の記事をご確認ください。

関連記事「【自治体にオススメ!】ソーラーカーポートとは?メリットや設置時に気を付けるポイントを解説」

2. セキュリティやレジリエンシーの確保

セキュリティやレジリエンシー(障害・災害などからの復旧のしやすさ)の確保の視点も、スマートシティの取り組みを成功させる上で欠かせません。

せっかくスマートシティの取り組みを行っても、サイバー攻撃や自然災害・機器の故障によって、すぐに機能が損なわれ長期的に回復しないようでは、安定して都市機能を維持できないからです。

特に都市OS(オペレーティングシステム)については、セキュリティ対策とリスク分散を徹底する必要があるでしょう。

3. 相互運用性の確保

スマートシティは、他のスマートシティと連携することで、さらに利便性を高めることができます。そのため、相互運用性を確保したシステム・都市OSの設計をすることが大切です。

データを連携可能なものにすることや、他都市と相互運用できるようなルールづくりをすることなどで、相互運用性を確保することができます。将来的に、他都市とどのように連携させて運用するのかをイメージした上で、システムを構築していきましょう。

04スマートシティの基本的な進め方3ステップ

スマートシティに取り組む際は、大きく以下の3つのステップで進めていくとスムーズです。

スマートシティの基本的な進め方3ステップ
【ステップ①】課題の可視化と共有
【ステップ②】取り組みの具体化と実証・実装
【ステップ③】モニタリング

 

【ステップ①】課題の可視化と共有

スマートシティの取り組みを進めるには、最初に解決したい課題や目的を整理し、プロジェクトメンバーに共有したり、市民へ発信したりしましょう。

課題や目的が明確になることで、目指すべきスマートシティの具体像や、活用すべきICT技術などが明らかになるからです。企業や大学・地域の関係者とは、協定を結ぶなどして、方向性を具体的に共有しておくとよいでしょう。

また、市民が取り組みの目的を理解しておくことで、スマートシティの機能を積極的に使いこなせるようになります。これによって、スマートシティの恩恵を余すことなく受けられるようになるでしょう。

【ステップ②】取り組みの具体化と実証・実装

スマートシティの目的や解決すべき課題が明確になったら、次は、それらをもとに計画を具体化していきます。具体的に検討すべきことの一例を確認してみましょう。

【具体化すべきことの一例】
・取り組みの内容
・構築するシステム
・KPI(評価項目)
・収集するデータやその取扱い
・資金計画
・全体的なスケジュール
・役割分担 ・都市OSの要否や基本設計 など

取り組みの具体化段階では、スマートシティの方向性に賛同する団体を募集したり、連携する団体や企業と推進主体を構成したりといった推進体制の整備もあわせて進めていく必要があります。

【ステップ③】モニタリング

スマートシティの計画や推進体制が整備できたら、実証実験を行い、順次実装していきます。この際にポイントとなるのが、モニタリングです。

実装したサービスやシステムが、想定したとおりの効果を発揮しているか確認し、必要な改善を継続していくことが、スマートシティの取り組みを成功させる上で欠かせません。

運用状況をチェックする、市民の声や新たなニーズを汲み上げるなどの、モニタリングを行いましょう。

05まとめ

ICTを活用し都市機能の最適化をはかるスマートシティは、これからのまちづくりに欠かせない取り組みです。今回ご紹介した事例やポイントを参考に、持続可能な手法・計画で、課題を解決していきましょう。

【参考】
・スマートシティ(内閣府)
・TOYOTA WOVENCITY(ウーブン・プラネット・ホールディングス株式会社)
・SMART TOKYO LEADING AREA(東京都)
・FUKUOKA Smart EAST(福岡市)
・「スマートシティ会津若松」の実現に向けた取組について(会津若松市公式ホームページ)
・会津若松市、蓄電式ソーラーカーポートを都市OSと連携する実証試験(デジタルクロス)

SHARE シェアする
  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
KEYWORD この記事のキーワード