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2022.11.10

【徹底解説】ソーラーカーポートの補助金について~支援内容から申請方法までまとめてご紹介~

現在、世界の多くの国が温室効果ガスの削減に向けて動いています。日本も例外ではありません。日本では、2030年度の温室効果ガス排出を2013年に比べて46%削減することを目標にすると、20214月に決定しました。このような動きを受け、温室効果ガスの排出を抑制する事業に対し、さまざまな助成金が用意されています。今回は、太陽光を利用したソーラーカーポートの導入にも活用できる、再生可能エネルギー事業者支援事業費について紹介します。

01再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)とは?

「再生可能エネルギー事業者支援事業費」とは、二酸化炭素排出抑制に関する事業の中でも、特にエネルギーを産み出す活動にともなって排出される二酸化炭素を抑制しようとする事業に対して支払われる助成金です。つまり、ある事業を行うために現在使用されているエネルギーを、太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーに切り替えたり、二酸化炭素の排出量がより少なくなる燃料に切り替えたりするための助成金です。

この助成金はこれまで、地域における地球温暖化対策活動推進や、環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業などに利用されてきました。その中の一つに、ソーラーカーポートの導入もあります。

これは、再生可能エネルギー事業者支援事業費の中でも「駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業」とよばれ、建物の屋根や空地以外の場所を活用した、ソーラーカーポート設備等導入支援を行うことを目的としたものです。ソーラーカーポートとは、柱と屋根からなる簡易的な構造のカーポートの屋根に、太陽光発電用のパネルを取り付けたもので、太陽光発電搭載型カーポートと太陽光発電一体型カーポートの両方が該当します。

この助成金は民間の事業者や団体を対象としており、2021年度(令和3年)には公募が行われていました。

02補助金の対象・申請時期を確認する方法

再生可能エネルギー事業者支援事業費は環境省が公募を行っています。そのため、補助金の対象や申請時期は環境省からの発表を元に確認します。

2022年度については既に公募は終了しているものの、概要は次のようになっていました。

補助対象設備太陽光発電一体型カーポート
太陽光発電搭載型カーポート
定置用蓄電池
車載型蓄電池
車載型蓄電池の充放電設備又は充電設備
応募可能対象者民間企業、独立行政法人や医療法人など、団体
補助金額(上限額)補助対象経費の3分の1
車載型蓄電池、充放電設備及び充電設備の補助率は別計算
(上限1億円)
公募期間第1次 令和4年3月18日~4月28日
第2次 令和4年5月9日~5月31日
第3次 令和4年6月6日~6月30日
第4次 令和4年7月6日~7月29日
対象者選定基準駐車場を活用したソーラーカーポートや蓄電池の導入を行う事業
発電量の50%以上を導入場所の敷地内で自家消費する など

03申請~補助金受領までの流れ?

補助金申請から受領までの流れは、再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)も、他の補助金と変わりません。そのため一般的な補助金の申請の流れを確認しておけば問題ありません。一般的な補助金の申請から受領までの流れは次のようになっています。

公募

支援事業の実施者から補助の目的や費用と共に、公募要項が発表されます。再生可能エネルギー事業者支援事業の実施者は環境省ですので、ソーラーカーポートに関する補助金の情報も環境省から発表されます。
公募要領では、申請書の様式(フォーマット)が提示されますので、それに沿って必要事項を全て記入します。その後、期間内に指定された提出先に申請書を提出し、応募が完了します。

審査・採択

提出された申請書が所管官庁により審査されます。これに採択されると採択通知が届き、補助事業として申請可能な額が通知されます。事業内容や申請書の内容によっては採択されないケースもあります。採択率は補助金の種類や年度、組まれている予算によって異なりますが、以前の情報を参考にしてみるのもいいでしょう。

交付申請・決定

採択通知で通知された補助金の申請可能額を元に、再度、事業経費の計画書を作成します。この計画書も含めた交付申請書を提出し、問題がなければ補助金の交付が正式に決定します。たとえ採択されていたとしても、交付申請内容に問題があれば補助金が交付されないため、注意が必要です。

報告書の提出

補助金を用いて実施した事業について、完了の報告書を提出します。ソーラーカーポートに関する補助金の場合であれば、ソーラーカーポートの設置工事や、その結果に関する報告を行うことになります。

確定検査

所管官庁が報告書を確認し、補助金が不正に利用されていないか、書類に不備がないかなどのチェックが行われます。この検査により、補助金額の確定が行われます。

請求書の提出・補助金受領

補助金の額が確定したら、申請者は所定の様式に従って請求書を提出します。これにより補助金が振り込まれ、受領になります。

04ソーラーカーポート導入前に注意しておくべきポイント

ソーラーカーポートの導入は、温室効果ガス排出削減だけでなく、デットスペースの活用や電気代の削減など多くのメリットがあります。このようなメリットの多い事業に補助金を活用できれば、さらにメリットが大きくなるでしょう。
しかし、補助金の申請にあたっては、さまざまな注意ポイントがあります。例えば、過去には次のような部分が採択のポイントとして挙げられました。

・実施計画が目的に合致し、実現可能であること
・申請する団体が、その事業を実施する能力を有していること
・再生可能エネルギーの自家消費比率が高いこと
・CO2削減効果の費用対効果が高いこと
・災害時にソーラーカーポートで作られる電力を利用できること

最初に挙げた2項目は、ソーラーカーポートに関わらず、全ての補助金に共通するものです。目的に合わない事業や、計画に無理のある事業は採択されません。ソーラーカーポートの導入であっても、無理のある工期や団体の支払い能力を超えたカーポートの導入など、実現や運用が難しい内容では補助を受けられません。

それ以外の項目については、必ずしも満たしていなければならない条件ではありませんでした。しかし、これらを満たしている事業が優先的に採択されますので、災害時の利用や、発電された電力の自家消費など、条件を満たせそうな内容についてはあらかじめ検討し、改善しておくといいでしょう。

05まとめ

再生可能エネルギー事業者支援事業費(ソーラーカーポート)とは、再生可能エネルギー事業者支援事業費の一環で、特にエネルギーを産み出す活動にともなって排出される二酸化炭素を抑制する事業に対して支払われる助成金です。柱と屋根からなる簡易的な構造の車庫に、太陽光パネルを設置したソーラーカーポートの導入に対して支払われる助成金で、2021年度、および2021年度補正予算にて公募がありました。2022年度の予算では公募がありませんでしたが、今後、補正予算や新年度の予算では再び公募される可能性もありますので、環境省からの情報をチェックしておきましょう。

ソーラーカーポートの補助金申請から受領の流れ、補助金申請にあたっての注意事項は、これまでは一般的な補助金とほぼ同じでした。今度、再び公募が行われた際は、公募要項をよく確認するようにしましょう。

【参考】
令和3年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進加速化事業)のうち再生可能エネルギー事業者支援事業費(駐車場を活用した自家消費型太陽光発電設備(ソーラーカーポート)の導入を行う事業)の公募開始について(環境省)

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