ISO14000とは|概要・種類・認証取得によるメリットを網羅的に解説 | 自然電力の脱炭素支援サービス – 自然電力グループ

ISO14000とは|概要・種類・認証取得によるメリットを網羅的に解説

ISO14000は、環境マネジメントシステムに関する国際規格の総称です。企業の経営活動が環境に及ぼす影響を改善するための枠組みを定めています。環境保護への企業の責任がますます重視される現代、ISO14000の理解と活用はビジネスの競争力を高めるための重要な要素です。この記事では、ISO14000の概要や認証取得によるメリットについて詳しく解説します。

ISO14000とは

ISO14000とは、環境監査・環境パフォーマンス評価・ライフサイクルアセスメントなどのさまざまな環境マネジメントに関する国際規格を総称したものです。1992年開催の地球サミットをきっかけに「持続可能な開発」が世界の共通課題となる中で、その実現に向けた一つの手段として環境マネジメントへの関心が高まりました。
これを受けて国際標準化機構(ISO)は1993年から環境マネジメント規格の検討を開始し、1996年に環境マネジメントシステムの仕様を定めるISO14001を制定しました。ISO14000規格は、企業が環境マネジメントを推進する際の道しるべとなっています。

ISO14000が重視される理由

ISO14000が示す環境マネジメントシステムとは、企業が環境保全の取り組みを推進する際、環境保護方針や目標を自ら設定し、その達成に向けて取り組んでいく一連のプロセスを指します。事業活動を環境負荷が低いものへと変化させるために必要な体制であり、幅広い企業が積極的に取り組むことが期待されています。
環境マネジメントシステムの例としては、以下のようなものがあります。

・環境省のエコアクション21
中小事業者の自主的な環境保全活動を促すガイドラインで、積極的な取り組みを行う企業は登録事業者に認証され、環境経営を目指す企業として社会的信頼を得られる
・国際規格のISO14001
経営戦略の方向性に合った環境マネジメントを実施し、リスクや機会に備えるための具体的な管理手法について定めている
・地方自治体、NPO、中間法人など等が策定した環境マネジメントシステムなど

企業が環境マネジメントへ体系的に取り組むと、事業活動のさまざまな場面で環境負荷を減らすことに貢献できるだけでなく、消費者の環境意識の高まりに対応した商品・サービスを提供できることにもつながります。また、省資源や省エネルギー化を実現することにより、経費節減にも効果を発揮します。このことから、ISO14000は近年ますます重視されています。

ISO14001との違い

ISO14001とは、環境マネジメントシステムの要求事項を定めた手引き書です。ISO14000は、ISO14001を含む環境マネジメントシステムに関連した国際規格の総称のため、具体的な取り組み内容はISO14001以降の各規格で定められています。
またJISQ14001というものもあり、これは国際規格のISO14001を日本語訳したものです。内容はISO14001とまったく同じで、日本国内の認証審査や環境マネジメントシステムの構築・運用において主に使用するのはJISQです。企業はJISQ14001の規格に沿ってPDCAを回しながら、環境マネジメントシステムのレベルを継続的に改善することが求められます。

ISO14000ファミリーとは

ISO14000の国際規格群にはいくつかの種類があり、それを総称して「ISO14000ファミリー」と言います。以下ではISO14000ファミリーの中で主なものを紹介します。

ISO14004

ISO14001で定める環境マネジメントの仕様に則って、より具体的に環境マネジメントシステムを実行に移すため、システムの確立・実施・維持・改善といった枠組みの手引きを解説しています。ISO14001の要求事項をより深く理解するのに役立ちます。

ISO14020

ISO14020では、環境ラベルの作成と使用についての原則を規定しています。環境ラベルとは、製品・サービスが環境に配慮していることを示すもので、グリーンマークやエコマークなどもこれに含まれます。消費者が環境ラベルの有無によって購入するかどうかを判断する側面もあることから、環境ラベルは正確かつ検証可能な情報に従って誤解のない表現を用いることなどが示されています。

ISO14031

ISO14031は、環境パフォーマンス評価に関する規定です。環境パフォーマンスとは、企業が温室効果ガス排出量の削減などの取り組みをした結果、どれだけ環境負荷軽減に貢献したかを示す指標のことです。事業活動においてさまざまな環境への影響がある中で、どれを著しい環境課題と扱うかを決め、環境パフォーマンスの基準を設定し、正しく評価する方法についてまとめられています。

ISO14040

ISO14040はライフサイクルアセスメントに関する指標です。ライフサイクルアセスメントとは、製品・サービスの資材調達・製造・流通・廃棄・再生までを含めたライフサイクル全体において、どのような環境負荷が発生するかを定量的に評価・査定する手法です。より透明性の高いライフサイクルアセスメントの公開がなされることを目指し、製品のライフサイクル調査に関する提言作成のための根拠として使用されることを目的としています。

【関連記事】

LCA(ライフサイクルアセスメント)とは|意味・企業への影響を知って脱炭素経営に役立てる

ISO14064

ISO14064は、温室効果ガスに関する規格群の総称です。ISO14064内において、3部構成で温室効果ガス排出量の算出・報告・検証の方法について記述しています。ISO14064規格群を有効に活用することで、温室効果ガス排出量の削減と吸収量の増加に加え、報告の信頼性および一貫性を高めることが可能となります。

ISO14068

カーボンニュートラルに関する規格であるISO14068は、2023年11月に発行されました。温室効果ガス排出量の定量化・削減に重点を置いており、オフセットよりもバリューチェーン内での直接的・間接的な温室効果ガス削減と除去の強化に向けた取組に関連する規格です。企業がカーボンニュートラルを達成・実証するための原則や要件について理解を深めるための手引きを提供します。

ISO14000認証を取得するメリット

脱炭素化が社会のスタンダードとなりつつある今、ISO14000認証を取得することにはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

社会的信用を獲得できる

ISO認証を取得するには、自社の環境マネジメントシステムを第三者機関に提出し、ISO14000規格に沿っているかどうかを審査してもらう必要があります。自社独自の環境保護活動をアピールすることも有効ですが、第三者の認証が得られることでより社会的信用が向上します。取引先・顧客はもちろん、地域社会などの自社を取り巻くすべてのステークホルダーに対して信頼度の高い企業だという印象を与えられます。

第三者機関の審査により問題点を発見できる

ISO規格では、組織が取り組むべき環境マネジメントシステムの要求事項を定めています。第三者機関は企業の取り組み状況を見て、要求事項を満たしているか否かをチェックし、認証を決定します。自社ではISO規格に沿った運用をしているつもりでも、第三者から見れば不十分な点や課題が発見されることもあります。このように、ISO14000認証取得の過程では、外部の視点を得ることで問題点を発見し、適切な是正処置を取れるというメリットがあります。
また、ISO認証は毎年審査が行われるため、自社の取り組みを振り返る効果も期待できます。第三者による定期的な審査は継続した改善を促し、よりよい環境マネジメントシステムの構築が実現します。

コスト削減が実現できる可能性がある

ISO認証を取得する際には、多くの企業が既存設備の環境負荷や作業効率の見直しなどを行います。その中で省エネルギー化・省資源化や、作業体制の効率化に着目した取り組みを推進すると、結果としてコスト削減が実現できる可能性があります。これまで無駄になっていたエネルギーや人的・時間的リソースなどを発見し、改善することで社内の意識改革にもつながり、無駄のない事業活動へと近づけるでしょう。

まとめ

ISO14000は、企業が環境マネジメントシステムを適切に構築・実行するための国際規格であり、環境に配慮した事業活動を促進します。ISO14000ファミリーの認証獲得は、企業が社会的責任を果たし、市場競争力を高めるための重要な一歩となります。この記事で解説したISO14000の種類や認証取得のメリットについて理解を深め、ぜひ御社のビジネスにお役立てください。

【参考】