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2023.3.29

【2023年度】農業従事者が利用できる補助金・助成制度の活用方法まとめ一覧

農業経営を支える補助金・助成金制度とは、経営人材の育成や施設整備、担い手の確保などさまざまな目的のために国や自治体が実施している制度です。

本記事では、農林水産省や中小企業庁など各省庁で公募されている補助金・助成金制度(2023年9月現在)の概要や目的を解説します。農業者が取り組む事業内容や支援額も解説しているため、具体的制度内容を理解できます。

補助金・助成金の一覧表を掲載しているので、「どのような補助制度があるか一覧で見比べたい」という方も、ぜひ参考にしてください。

01農業経営を支える補助金・助成金とは

農業における補助金・助成金とは、農業者の高齢化や担い手不足、食料自給率の低下などの問題を解決するために、国や地方自治体が事業にかかる資金の一部を給付する制度のことです。なお、補助金制度を大別すると補助金・助成金・交付金などに分けられて公募されています。

それぞれの違いは次の通りです。

  • 補助金:採択件数や金額が決まっているものが多く、必ずしも受給できるわけではない
  • 助成金:条件を満たせば受給できる可能性が高い
  • 交付金:特定の目的のために交付する金銭を広く指す

公募されている事業に応募、要件に当てはまれば補助が受けられます。しかし、必ずしもすべての経費が補助されるわけではないため、事前に補助の割合や上限額を確認しましょう。

補助内容は事業費の一定割合を負担してくれる「補助率」、あらかじめ設定された上限範囲内で事業費を負担してくれる「定額補助」があります。

次章から、下記の一覧にある農業者が利用できる補助金・助成金制度の概要や実際に取り組む事業内容、支援額をそれぞれくわしくご紹介します。

【新しく農業をはじめる方向けの補助金・助成金】
・就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)
・経営発展支援事業【設備投資・規模拡大したい方向けの補助金・助成金】
・強い農業づくり総合支援交付金
・農地耕作条件改善事業
・産地生産基盤パワーアップ事業
・荒廃農地等利活用促進交付金
・農産物等輸出拡大施設整備事業
・情報通信環境整備対策(農山漁村振興交付金)
・持続的生産強化対策事業
・農家負担金軽減支援対策事業
・農林水産物・食品輸出促進対策事業【人材確保・育成したい方向けの補助金・助成金】
・雇用就農資金

【資材・エネルギーに関する補助金・助成金】
・PPA活用等による地域の再エネ主⼒化・レジリエンス強化促進事業
・みどりの食料システム戦略推進交付金

【その他】
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・IT導入補助金

 

02新しく農業をはじめる方向けの補助金・助成金

新規就農者が利用できる補助金・助成制度は以下の2つです。

  • 就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)
  • 経営発展支援事業

それぞれについて、くわしく解説します。

就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金) 

農業者になることを目指している方に対して、就農前の研修を後押しする資金「就農準備資金」と就農直後の経営確立を支援する資金「経営開始資金」を交付する制度です。

就農準備資金
農業者となることを目指して、就農前に道府県農業大学校や先進農家などで研修を受ける場合、研修期間中に以下の条件で交付金が支給されます。

対象者 支援額 補助率
研修期間中の研修生(就農時49歳以下) 12.5万円/月(最大150万円/年)×最長2年間 国100%

経営開始資金  
経営開始資金とは新規就農される方に、農業経営を始めてから経営が安定するまでの最大3年間、以下の条件で交付金が支給されます。

対象者 支援額 補助率
認定新規就農者(独立・自営就農時49歳以下) 12.5万円/月(最大150万円/年) ×最長3年間 国100%

参考:農林水産省「就農準備資金・経営開始資金(農業次世代人材投資資金)」

経営発展支援事業

経営発展支援事業とは新規就農される方に、機械・施設等の導入にかかる経費を以下の条件で支援してくれます。

対象者 支援額 補助率
認定新規就農者
(就農時49歳以下)
補助対象事業費上限1,000万円(経営開始資金の交付対象者は上限500万円) 県支援分の2倍を国が支援

※認定新規就農者:新規参入者、親元就農者(親の経営に従事してから5年以内に継承した者)が対象

参考:農林水産省「経営発展支援事業」

03設備投資・規模拡大したい方向けの補助金・助成金

これから設備投資・規模拡大したいと考えている農業者の方が利用できる補助金・助成制度は以下の9つです。

・強い農業づくり総合支援交付金
・農地耕作条件改善事業
・産地生産基盤パワーアップ事業
・荒廃農地等利活用促進交付金
・農産物等輸出拡大施設整備事業
・情報通信環境整備対策(農山漁村振興交付金)
・持続的生産強化対策事業
・農家負担金軽減支援対策事業
・農林水産物・食品輸出促進対策事業

それぞれについて、くわしく解説します。

強い農業づくり総合支援交付金(令和5年度の公募終了)

強い農業づくり総合支援交付金とは、農業機械や施設の導入、事業育成・担い手確保などを行う事業です。取り組みを行う団体や農業者に交付されます。

この交付金には以下の3つの種類とそれぞれ分類があります。

1.地域の創意工夫による産地競争力の強化(産地基幹施設等支援タイプ)

分類 支援内容 助成額等
① 産地収益力の強化、産地合理化の促進 農業法人や農業者団体等による集出荷貯蔵施設や冷凍野菜の加工・貯蔵施設等の産地の基幹施設の整備等、産地の集出荷、処理加工体制の合理化に必要な産地基幹施設等の再編等を支援 ・助成対象:農業用の産地基幹施設 
・補助率 :1/2以内等
・上限額 :20億円等
② 重点政策の推進 みどりの食料システム戦略に加え、スマート農業、産地における戦略的な人材育成といった重点政策の推進に必要な施設の整備等を支援

2. 食品流通の合理化(卸売市場等支援タイプ)

支援内容 助成額等
品質・衛生管理の強化等を図る卸売市場施設、産地・消費地での共同配送等に必要な ストックポイント等の整備を支援 ・助成対象:卸売市場施設 共同物流拠点施設
・補助率 :4/10以内等 
・上限額 :20億円

3. 生産構造の急速な変化に対応するための生産事業モデル等の育成

分類 支援内容 助成額等
① 生産事業モデル支援タイプ 核となる事業者が連携する生産者の作業支援など様々な機能を発揮しつつ、安定的な 生産・供給を実現しようとする生産事業モデルの育成を支援 ・助成対象:推進事業(農業用機械、実証等) 整備事業(農業用施設) 
・補助率 :定額、1/2以内 
・上限額 :推進事業5,000万円 整備事業20億円
② 農業支援サービス事業支援タイプ 農業支援サービス事業の育成に必要な農業用機械の導入を支援 ・助成対象:農業用機械
補助率 :1/2以内 
・上限額 :1,500万円

「農業経営の基盤を強化して地域農業の担い手をめざしたい」方が有効活用できる制度です。

参考:農林水産省「強い農業づくり総合支援交付金」

農地耕作条件改善事業

農地耕作条件改善事業とは、耕作条件の改善・担い手への農地集積の推進・高収益作物への転換の取り組み・機械のリース導入などを支援する事業です。取り組みを行う農業者に助成金が交付されます。

この助成金事業の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 助成額等
地域内農地集積型 農地造成や土層改良、区画拡大など耕作条件改善を機動的に支援 事業費に対して「補助率1/2」の支援や定額補助(上限300万円)など
高収益作物転換型 農産物の需給動向の把握調査や農業機械リース、種子・肥料の支援 事業費に対して「補助率1/2」の支援や定額補助(上限500万円)など
スマート農業導入推進型 スマート農業の導入に向けたGNSS基地局の設置と、これに併せて農業用トラクタへの自動操舵システムの導入等を支援 ・GNSS基地局整備
・先進的省力化技術導入支援
・調査・調整、実施計画策定支援など

公募時期は随時となっており、農地耕作条件改善事業は支援メニューが複数あり、自力施工や小さな 農地も対象になっていることから、あらゆる農業者に活用しやすい制度です。

参考:農林水産省「農地耕作条件改善事業(令和5年度予算)」

産地生産基盤パワーアップ事業

産地生産基盤パワーアップ事業とは、産地の収益性の向上・海外の新市場の獲得・農業の国際競争力の強化などをめざす事業です。取り組みを行う農業団体や農業者に補助金が交付されます。

この補助金事業の内容の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 助成額等
新市場獲得対策 新市場に向けた拠点事業者の育成、需要に応じた農作物の栽培支援など 事業に応じて「補助率:1/2以内」の支援、または定額補助
収益性向上対策 農業機械の導入、集出荷施設の整備の支援など
生産基盤強化対策 生産基盤の強化、土壌づくりの支援など

「収益性の向上や新市場の獲得をめざしたい」方に最適な制度です。

参考:農林水産省「産地生産基盤パワーアップ事業関係情報」

荒廃農地等利活用促進交付金

荒廃農地等利活用促進交付金とは、荒廃農地等を引き受けて営農を再開するために⾏う再⽣作業、⼟壌改良、営農定着、加⼯・販売の試⾏、施設等の整備を行う農業団体や農業者に補助金が交付されます。

国の事業としての「荒廃農地等利活用促進交付金」は平成30年度で廃止されていますが、各自治体にて荒廃農地対策のための事業が展開されています。

各自治体の事業内容の一例は以下の通りです。

都道府県 事業名 支援内容 助成額等
岩手県 いきいき農村基盤整備事業 耕作放棄地の発生防止(障害物除去、整地、土壌改良等)に係る経費の一部を補助

①耕作放棄防止(発生防止) 
②耕作放棄防止(土壌改良)

①20,000円/10a
※上限200万円 ②25,000円/10a
※上限200万円
宮城県 最適土地利用支援事業 遊休農地の荒廃解消から有効活用へ繋がる再生・再利用作業や、多様な担い手へのマッチングを行う取組を支援 

1. 地域活性化対策(ソフト事業)  
①農地最適化利用計画策定支援 
②最適土地利用に関する推進活動 支援 

2. 再生農地・再利用対策(ハード事業)

1.上限30万円
2.補助対象経費のうち1を除いた額に2分の1を乗じて得た額以内
※1と2合わせて上限1,000万円以内
山形県 やまがた農地リフレッシュ&アクション事業 荒廃農地等の再生作業(障害物除去、深耕、整地、土壌改良等)及び営農定着・粗放的利用に係る経費の一部を補助 県:1/4
市町村:1/4以上
 ※県と市町村あわせて1/2以上

耕作放棄地や遊休農地の荒廃解消に取り組みたいと考えている農業者の方は、ご自身が所属する自治体に対象事業があるか確認してみてはいかがでしょうか。

参考:「都道府県独自の荒廃農地対策事業一覧(令和5年4月時点)」

農産物等輸出拡大施設整備事業

農産物等輸出拡大施設整備事業とは、国産農産物の輸出の拡大に必要な集出荷貯蔵施設や処理加工施設等の産地基幹施設の整備を支援する事業です。

対象者 支援額 補助率
GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)会員 事業費の1/2以内

参考:農林水産省「農産物等輸出拡大施設整備事業」

情報通信環境整備対策(農山漁村振興交付金)

農産漁村振興交付金のうち情報通信環境整備対策は、農村インフラの管理の省力化・高度化や、地域活性化やスマート農業の実装をめざす事業です。取り組みを行う自治体や農業団体、土地改良区などに交付されます。

この交付金事業の内容は、次の2つです。

事業名 支援内容 補助率
計画策定事業 情報技術の利用ニーズ調査、機器の試験設置、専門家の派遣など 交付額は定額
施設整備事業 光ファイバや無線基地局の整備、スマート農業のための設備導入など 1/2等

参考:農林水産省「農業農村における情報通信環境の整備」

情報通信環境整備対策は事業申請を随時募集しており、「農村インフラを整えてスマート農業などを促進していきたい」方が有効に活用できる制度です。

持続的生産強化対策事業(令和5年度の公募終了)

持続的生産強化対策事業は、産地の持続的な生産力・販売力の強化や産地全体の発展などを総合的に支援する事業です。取り組みを行う農業者に補助金が交付されます。

この補助金事業の内容の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 補助金額等
戦略作物生産拡大支援 需要対応品種の種子供給体制の整備、原種生産の効率化に必要な機械の導入支援にかかる経費の補助 ・各事業でそれぞれに設定された定額補助、または「補助率1/2以内」を支援

・農業機械のリースに関して「リース料の1/2もしくは6/10以内」の支援

時代を拓く園芸産地づくり支援 先進的な生産技術や出荷技術の普及に向けた取り組みにかかる経費の補助
環境負荷軽減型持続的生産支援 酪農・ 肉用牛経営が行う温室効果ガス削減の取組の補助

参考:農林水産省「持続的生産強化対策事業推進費補助金等交付等要綱の制定について」

持続的生産強化対策事業は「生産から販売までの総合的な取り組みを支援してほしい」方に最適な制度です。

農家負担金軽減支援対策事業(令和5年度の公募終了)

農家負担金軽減支援対策事業は、土地改良事業の負担金の軽減と計画的償還の推進をめざす事業です。取り組みを行う自治体や農業者に対して助成金の交付を行います。

助成の対象となる負担金などは次の通りです。

支援内容 補助額等
土地改良区などの負担金 6,650万円以内で、予算の範囲内で事業の実施に必要となる経費を定額で補助
災害被災農地の営農再開までの負担金
農地の出し手に対する借入資金

農家負担金軽減支援対策事業は「農地の管理や維持などに必要な負担金の支払いに困っている」方に最適な制度です。

参考:農林水産省「令和5年度農家負担金軽減支援対策事業の公募について」

農林水産物・食品輸出促進対策事業(令和5年度の公募終了)

農林水産物・食品輸出促進対策事業は、農林水産物や食品輸出の促進をめざす事業です。輸出に関わる自治体や団体などに対して補助金を支援してくれます。

取り組む事業の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 助成額等
1. マーケットイン輸出ビジネス拡大緊急支援事業 (1) 戦略的輸出拡大サポート緊急対策事業

(2) 品目団体輸出力強化緊急支援事業

(3) コメ・コメ加工品輸出推進緊急対策事業

(4) インバウンド等への食文化発信等を通じた輸出促進支援事業

各事業によって1/2以内、定額
2. 輸出ターゲット国における輸出支援体制の確立緊急対策事業 (1) 海外向け戦略的サプライチェーン構築推進事業 

(2) 海外展開ハンズオン支援事業

 (3) 水産物輸出拡大連携推進事業

各事業によって2/3以内 、1/2以内、定額
3. グローバル産地づ くり緊急対策事業 (1)GFPフラッグシップ輸出産地形成プロジェクト

(2) 加工食品クラスター緊急対策支援事業

(3) 青果物輸出産地体制強化加速化事業 

(4) 国際認証取得等支援事業

各事業によって1/2以内、定額

農林水産物・食品輸出促進対策事業は「輸出事業を発展させたい」という事業者が有効活用できる制度です。

参考:農林水産省「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業補助金交付等要綱」

04人材確保・育成したい方向けの補助金・助成金

雇用就農資金

人材確保・育成したい農業従事者向けの補助金・助成制度には「雇用就農資金」があり、以下の3つのタイプに分かれています。

事業名 対象者 補助内容
雇用就農者育成・独立支援タイプ 新規就農者を雇用し、農業就業または独立就農に必要な研修を実施する農業法人等 支援額:年間最大60万円
支援期間:最長4年間
新法人設立支援タイプ 独立就農を目指す新規就農者を一定期間雇用し、独立就農に必要な研修を実施する農業法人等 支援額:年間最大120万円(3年目以降は年間最大60万円)
支援期間:最長4年間
次世代経営者育成タイプ 国内外の先進的な農業法人や異業種の法人に職員を派遣する農業法人等 支援額:月最大10万円
支援期間:最短3ヶ月~最長2年間

なお、「次世代経営者育成タイプ」は令和6年1月31日までの公募受け付けとなっているため興味のある方は事前に内容を確認しましょう。

参考:農林水産省「雇用就農資金」

05資材・エネルギーに関する補助金・助成金

農業従事者が利用できる資材・エネルギーに関する補助金・助成制度は以下の2つです。

・PPA活用等による地域の再エネ主⼒化・レジリエンス強化促進事業
・みどりの食料システム戦略推進交付金

それぞれについて、くわしく解説します。

PPA活用等による地域の再エネ主⼒化・レジリエンス強化促進事業(公募終了)

地域の再生エネルギーに対するポテンシャルを有効活用することや、太陽光発電の導入により経済的メリットを得られる状態などをめざす事業です。再生可能エネルギー導入に取り組む民間事業者や団体などに対して補助金を交付します。

この事業の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 補助額等
太陽光発電設備等の価格低減促進事業 施設などへの自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入など 設備に応じて「補助率:3/4・2/3・1/2・1/3」の支援、または上限内でkW(電力)・kWh(電力量)に応じた定額補助
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業 駐車場や営農地、ため池への太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入など

この事業では、耕作放棄地問題の解決策の一つとしても近年注目されている、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)にも活用ができます。耕作放棄地でソーラーシェアリングの導入を行なった事例については、次の記事を参考にしてください。

関連記事​​​​【導入事例】山間部の耕作放棄地を蘇らせるソーラーシェアリング。導入のポイントと効果とは?

みどりの食料システム戦略推進交付金

資材・エネルギーの調達や農林水産物の生産から消費に至るまでの環境負荷軽減と持続的発展をめざして、モデル的先進地区の創出を行う事業です。取り組む農業者に交付金が支給されます。

この交付金事業の内容の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 補助額等
産地基幹施設等支援タイプ 土地整備・施設整備・家畜放牧条件整備など 事業に応じて「補助率:1/2以内」の支援、または定額補助(上限300万円〜7,000万円)で支援
先進的農業経営確立支援タイプ 農業経営の開始または改善に必要な施設の取得や改良など
地域担い手育成支援タイプ 農業機械の導入・土地の整備や拡大・農道整備など

みどりの食料システム戦略推進交付金は「スマート農業や再生可能エネルギーなどの新しい事業に取り組みたい方」に最適な制度です。

参考:農林水産省「みどりの食料システム戦略」

06その他

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり直面する制度変更に対応するために設備投資等を支援する制度です。

この交付金事業の内容の一例は次の通りです。

事業名 支援内容 補助額等
通常枠 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 従業員数 

5 人以下 :100万円~750万円 

6人~20人:100万円~1,000万円 

21人以上 :100万円~1,250万円

補助率1/2

小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3

回復型賃上げ・雇用拡大枠 業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 従業員数

 5 人以下 :100万円~750万円 

6人~20人:100万円~1,000万円 

21人以上 :100万円~1,250万円

補助率2/3

デジタル枠 DXに資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 従業員数

5人以下 :100万円~750万円 

6人~20人:100万円~1,000万円 

21人以上 :100万円~1,250万円

補助率2/3

参考:「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領」(全国中小企業団体中央会)

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで業務効率化・売上アップを支援する補助金です。

この制度は「通常枠」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠」の3種類があります。

・通常枠

分類 補助金額 補助率
A類型 5〜150万円未満 1/2以内
B類型 150〜450万円以下 1/2以内

・セキュリティ対策推進枠

補助金額 補助率
5万円~100万円 補助対象経費の1/2以内

・デジタル化基盤導入枠

分類 補助金額 補助率
デジタル化基盤導入類型 会計・受発注・決済・ECソフト:①50万円以下 ②50万円~350万円

・PC・タブレット等 :10万円

・レジ・券売機 :20万円

・会計・受発注・決済・ECソフト:①3/4以内 ②2/3以内

・PC・タブレット等: 1/2以内

・レジ・券売機: 1/2以内

複数社連携IT導入類型 (1)基盤導入経費:3,000万円以下
(2)事務費・専門家費:200万円以下
商流一括インボイス対応類型 (下限なし)~350 万円 ・中小企業・小規模事業者等:2/3以内
・その他の事業者等:1/2以内

参考:IT導入補助金2023

2023年10月1日から開始したインボイス制度に対応が求められる農業者にも有効活用できる制度です。

07オンラインで手続き申請ができる「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」

これまでご紹介した農林水産省の補助金・助成金制度の申請手続きは、基本的に紙ベースで手続き書類を準備し、関係機関の窓口で提出する必要がありますが、「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」に登録することでご自宅のPC、スマホからいつでも申請可能になります。(「6. その他」で紹介したものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とIT導入補助金は対象ではありません)

eMAFFに登録すると申請書類を紙で管理する必要はなく、書類の受付・スキャン・入力・印刷・押印・郵送と いった紙申請特有の手間が解消されます。また過去の申請情報も利用できるため、申請様式を記入する手間が省けるためデータ管理の簡素化につながるメリットがあります。

さらに自分が行った申請の審査状況をリアルタイムで把握することができるため、審査結果を待つ間の不安感も軽減できるでしょう。これまで補助金・助成金の申請手続きに手間がかかると感じていた方はeMAFFで登録・申請してみてはいかがでしょうか。

08まとめ

今回は農業に関する補助金・助成金制度についてご紹介しました。

農業経営の拡大や新規就農において資金面の援助は重要です。補助金・助成金制度などを上手に利用するためには、事業内容や支援額を把握する必要があります。そして、自分の目的に沿った制度を選択することが大切です。

農林水産省のホームページにある「逆引き事典」では、補助金の利用者や目的、品目や事業年度から利用できる補助金を検索できますので、ぜひ活用してみてください。

農林水産省 逆引き時点 補助金

【参考】

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