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「SDGs 未来都市」をテーマに!自治体のあるべき姿と成功へ導く方策

今、世界ではSDGs(持続可能な開発目標)達成のためにさまざまなプロジェクトが動いています。日本でもSDGs達成に向け、さまざまな動きが行われています。そのうちの一つがSDGs未来都市の選定事業です。この記事ではSDGs未来都市選定のスケジュールや、応募の出し方、提案のポイントなどについて解説していきます。

01「SDGs未来都市」とは?

SDGs未来都市とは、SDGs達成のために優れた取り組みを行っている、あるいは行おうとしている都市として、内閣府から選ばれた自治体です。SDGs未来都市の選定は2018年からスタートしました。内閣府の募集に対し、自治体がぞれぞれの取り組みや、現在計画されている内容などを提案し、それが優れた取り組みであると認められると、SDGs未来都市に選定されます。SDGs未来都市には、経済・社会・環境の三つの側面に対して統合的な取り組みが求められており、それによって作られた新らしい価値やつながりを元に、地域課題の解決や地域活性化、持続可能なまちづくりが可能になると考えられています。このような理念を「地方創生SDGs」といいます。またSDGs未来都市として選定された都市の中でも、さらに特に優れた取り組みは「自治体SDGsモデル事業」として認定されます。

SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業の選定は、他のモデルとなる優れた取り組みを評価し、成功させることによって、その事例が他の自治体にも普及することを目的に行われています。そのためSDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業には国からの支援も行われ、認定を受ければ、SDGs達成に向けた取り組みを加速させるチャンスになります。

022023(令和5)年度の募集スケジュール(予定)は?

SDGs未来都市への選定を望む自治体は、内閣府地方創生推進室が行う募集に応募する必要があります。過去3年間のSDGs未来都市募集スケジュールは次の表のとおりです。

令和4年度
(2022年)
令和3年度
(2021年)
令和2年度
(2020年)
募集要領公表1月21日1月19日1月24日
提案受付期間2月14日~2月28日2月19日~3月1日2月18日~3月2日
「SDGs未来都市」及び
「自治体SDGsモデル事業」 の選定
5月~6月5月~6月5月~6月

年度により数日の前後はありますが、概ね1月20日頃に募集要領が公表され、2月後半の2週間ほどが提案の受付期間になり、5月~6月に選定の結果が公表されています。大きな方針の変更がなければ、2023(令和5)年度も同じようなスケジュールで募集が行われると考えていいでしょう。

募集要項の公表から提案受付の締め切りまでは、1カ月強しかありません。しかし、SDGsの推進に対するゴールと達成度や、推進体制、モデル事業での資金スキームなど、提案書の作成に時間がかかりそうな項目も少なくありません。そのため募集要領の公表を待ってから準備を開始するのではなく、前もって準備を進めておいたほうがいいでしょう。前年度などを参考に、必要な情報を整理したり、資料を用意しておき、細かい部分を公表された要領に沿って修正するなど、計画的な準備が必要です。

03「SDGs未来都市」モデル事業への提案(方法)について

SDGs未来都市に応募するためには、内閣府から配布される所定の提案書に必要事項を記入し、期限内に指示された提出先に提出します。2022年度の募集では、必要な書類は次の4種類でした。

・SDGs未来都市等提案書
・SDGs未来都市全体計画提案概要
・自治体SDGsモデル事業提案概要
・三側面をつなぐ統合的取組の初年度の事業費等

要項に定められた内容と、提案書の様式にある内容は、基本的に全ての項目について記入が必要です。またSDGs未来都市に応募する際には、自治体全体でのSDGsの取り組みである「全体計画」に加え、自治体が特に注力する先導的取り組みである「SDGsモデル事業」の提案も必須になります。

参考として、2022年度の募集要項にある記載内容を見てみましょう。
※以下、2022年度 SDGs未来都市等募集要領より引用

1.全体計画(自治体全体でのSDGsの取組)
1 将来ビジョン
(1)地域の実態
(2)2030 年のあるべき姿
(3)2030 年のあるべき姿の実現に向けた優先的なゴール、ターゲット
2 自治体SDGsの推進に資する取組
(1)自治体SDGsの推進に資する取組
(2)情報発信
(3)全体計画の普及展開性
3 推進体制
(1)各種計画への反映
(2)行政体内部の執行体制
(3)ステークホルダーとの連携
(4)自律的好循環の形成へ向けた制度の構築等

2.自治体SDGsモデル事業(特に注力する先導的取組)
1 自治体SDGsモデル事業での取組提案
(1)課題・目標設定と取組の概要
(2)三側面の取組
①経済面の取組
②社会面の取組
③環境面の取組
(3)三側面をつなぐ統合的取組
(3-1)統合的取組の事業名(自治体SDGs補助金対象事業)
(3-2)三側面をつなぐ統合的取組による相乗効果等(新たに創出される価値)
(4)多様なステークホルダーとの連携
(5)自律的好循環の具体化に向けた事業の実施
(6)自治体SDGsモデル事業の普及展開性
(7)資金スキーム
(8)スケジュール
※引用ここまで

この内容から、応募には、SDGs実現に向けた全体的なビジョンだけでなく、モデル事業を共に行っていく団体(ステークホルダー)の選定や資金、スケジュールなど、事業内容の具体的な計画が必要なことが分かります。また提案にあたっては、各自治体がもつ強みや自然環境などの特徴の他、地域として抱える課題なども考慮しなければいけません。

内閣府地方創生推進事務局の「地方創生サイト」では、これまでにSDGs未来都市に選定された自治体が提出した提案書や、自治体SDGsモデル事業に選定された事業の提案書を見ることができます。応募書類を作成する際には、他の自治体の例を参考にする方法もあります。

参考として、2022年度に自治体SDGsモデル事業に選定された事例を挙げます

2022年度自治体SDGsモデル事業 選定事業

宮城県大崎市:大崎耕土GIAHSを核とした持続可能な地域社会づくり
千葉県松戸市:Z世代を起爆剤に多様な主体が奏でる常盤平団地エリアのリ・ブランディング
東京都足立区:逆境を「まちの力」で乗り越える足立SDGsモデル構築事業「やりたくてもできない」から「やりたい!」に
新潟県新潟市:将来に向けた持続可能な食と農の創出プロジェクト
岐阜県恵那市:恵那発たべるSDGsモデル構築プロジェクト〜恵那ふうど=FOOD×風土〜
大阪府阪南市:共創による新しい地域価値の創造 カーボンニュートラルの先にあるCo-ベネフィット型未来都市に向けて
和歌山県田辺市:1000年をつなぐ田辺市熊野SDGsプロジェクト
鳥取県:人口最少県 誰もが活躍する「人づくり王国とっとり」戦略〜SDGsチャレンジ人財サポート
熊本県八代市:Move forward! 「SDGs フードマッチングプロジェクト」
熊本県上天草市:島々を抱く穏やかな海とともに生き続けるためのプロジェクト

事業の名称を見るだけでも、団地や農業、歴史など、それぞれの地域の特徴が活かされていることが分かります。このように、SDGs未来都市の計画やその核となる事業においては、地方創生の発想が大切になります。

042022年度の選定結果からみる評価のポイント

SDGs未来都市の選定においては、提出された書類を元に、さまざまな項目で評価と採点が行われます。評価項目や採点基準、配点については内閣府地方創生推進事務局のウェブサイトにある「SDGs未来都市選定基準(評価項目と評価・採点方法)」から見られるので、応募書類を作る前に目を通しておくと、抑えておくべきポイントが分かります。
これを見てみると「総合的取り組みによる全体最適化」や「自律的好循環の具体化に向けた事業の実施」の他「経済、社会、環境の各側面の相乗効果」などの項目の配点が高くなっています。つまり環境だけでなく、経済や社会、地域課題の解決なども重視されているのが分かります。

また他の評価ポイントを次に解説します。

SDGsの達成に向けたKPIの設定

SDGsの達成に向け、定めたゴールやターゲットに対し、経済、社会、環境のそれぞれの面におけるKPIの設定も評価のポイントになります。KPI(Key Performance Indicator)は、日本語では重要業績評価指標といわれ、目標を達成するプロセスでの達成度合いを表わす数値です。目標の達成に向けて具体的で効果的な取り組みが行われているかが重要です。

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組み

2021年度から、評価ポイントにカーボンニュートラル実現への取り組みが加わりました。経済、社会、環境のバランスに配慮しつつ、2050カーボンニュートラルを実現するための活動が評価の対象になります。他にも、取り組み内容を発信し普及に努める活動なども、新たな評価ポイントとして加わっています。

05来年の選定に向けての提案ポイント

SDGs未来都市の選定基準は、過去5年間、大きな変更はありませんでした。そのため2023年度の提案ポイントも2022年度と大きく変わる可能性は低いと考えられます。一方で、SDGs未来都市の選定が6年目を迎え、選定された都市の数も増えてきたことから、取り組みの先導性のアピールは難しくなりつつあるともいえます。そのため、外部環境の変化や地域の実情を踏まえた効果的な取組の推進がより一層重要になるでしょう。

06「SDGs未来都市」に選定された自治体が受けられる支援

SDGs未来都市に選出された自治体には、地方創生推進交付金で申請できる事業の数が増えるなどのメリットがあります。さらに自治体SDGsモデル事業に選定されれば、補助金による資金的支援も受けられます。その他にも、掲げた計画をより効果的に実行するため有識者や各省庁からアドバイスをもらうことができるなど、政府からの手厚いフォローを受けることができます。

交付スケジュールについて

応募の流れはおおよそ次のように進んでいきます。

・5~6月 SDGs未来都市等の選定・公表、自治体SDGsモデル事業補助金交付申請
・6~8月 SDGs未来都市計画 策定
・7月下旬頃 自治体SDGsモデル事業補助金 交付決定

07まとめ

SDGs未来都市とは、SDGs達成のために優れた取り組みを行っている都市です。毎年1月中旬頃に募集要項が公表され、2月に応募期間があります。所定の書類による審査を経て、内閣府から選ばれます。SDGs未来都市の応募にはSDGsモデル事業の提案が欠かせません。環境だけでなく経済、社会のバランスも取りながら地方の活性化を行い、持続可能な社会を実現することが求められます。SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定されれば、有識者が各省庁のアドバイスの他、補助金などによる資金援助も受けられます。

【参考】
2022年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について(地方創生サイト)
地方創生支援事業費補助金(地方公共団体における持続可能な開発目標の達成 に向けた取組の推進事業)交付要綱(地方創生サイト)
令和4年度SDGs未来都市 選定都市一覧(地方創生サイト)
令和4年度自治体SDGsモデル事業 選定事業一覧(地方創生サイト)
令和4年度「SDGs未来都市」等の選定及び選定証授与式の開催について(地方創生サイト)
2022 年度SDGs未来都市等募集要領(地方創生サイト)
2022年度SDGs未来都市選定基準(評価項目と評価・採点方法)(地方創生サイト)
2021年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について(地方創生サイト)
募集:2021年度SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業(地方創生サイト)
2021 年度SDGs未来都市等募集要領
2021年度SDGs未来都市選定基準(評価項目と評価・採点方法)
2020年度SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の選定について(地方創生サイト)
令和2年度「SDGs未来都市」等の選定について(地方創生サイト)
2020 年度SDGs未来都市等募集要領(地方創生サイト)
2020年度SDGs未来都市等選定基準(評価項目と評価・採点方法)(地方創生サイト)
公募:2020年度SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業(地方創生サイト)
令和4年度自治体SDGsモデル事業 選定事業一覧(地方創生サイト)
SDGs未来都市とは?一覧と解説!(相模原市:SDGs_one by one)

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