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2022.11.10

【自治体にオススメ!】ソーラーカーポートとは?メリットや設置時に気を付けるポイントを解説

温室効果ガス削減や、SDGsなどの観点から、太陽光発電への関心が高まっています。従来、発電というと火力発電所や水力発電所、原子力発電所のように大規模な施設を必要とするものでした。しかし太陽光発電であれば、住宅や工場の屋根など、ちょっとした空きスペースでも利用できます。また太陽光は毎日降り注ぐものであるため、サスティナブルで地球に優しい発電方法でもあります。この記事では、太陽光発電の一つの方法である、ソーラーカーポートについて解説します。

01ソーラーカーポートとは?

ソーラーカーポートとは、カーポートの屋根に太陽光パネルを設置したものをいいます。
カーポートとは、柱と屋根から構成される簡易的な車庫のことで、家屋の庭などで多く使用されているものです。壁を伴った倉庫のような車庫や、家屋と一体化しているもの、立体駐車場のような建物になっているものはカーポートには分類されません。
カーポートの多くは、アルミやステンレスなどの柱と、ポリカーボネートやスチールの板の屋根で作られています。ソーラーカーポートとは、そのようなシンプルな作りのカーポートの屋根部分に太陽光パネルを設置し、太陽光発電ができるようにしたものです。太陽光パネルは特別に重たいものではないことから、住宅の屋根だけでなく、カーポートのような簡易的な構造物の上にも設置できるのです。またカーポートの屋根は家屋と異なり、比較的平らな形状をしているため、太陽光パネルの設置にも適しています。
ソーラーカーポートで発電した電気は売電に利用したり、災害で停電した際には昼間の発電装置にしたり、多くのメリットが見込まれます。さらにサスティナブルで地球に優しい発電でもあるため、環境やSDGsへの貢献にもなります。このような理由から、企業、家庭、そして自治体の公共施設などのカーポートに太陽光パネルを設置する動きが進んでおり、ソーラーカーポートの導入に対して、政府や自治体の助成が利用できるケースもあります。

02ソーラーカーポートの種類について

ソーラーカーポートは、大きく分けて2種類に分類できます。一つ目が、カーポートと太陽光パネルが一体化したものです。もう一つは、元々はソーラーカーポートとして作られていなかったものに、太陽光パネルを搭載したものです。それぞれの特徴は次のようになっています。

一体型

カーポートの設計時から、すでに太陽光パネルや周辺機器を設置、固定する前提で作られています。太陽光パネルが設置しやすいようにフラットな屋根のものが多いです。太陽光パネルの取り外しは想定されていないため、太陽光発電をやめる可能性がある場合には、注意が必要です。

太陽光発電搭載型

既存のカーポートに後から太陽光パネルを設置する、または太陽光パネルとカーポートを別々に設計して、カーポートの設置後に太陽光パネルを設置するものです。既にカーポートがある場所にも設置できますが、その際には、現在の柱や梁(はり)が太陽光パネルの重さに耐えられるか確認しなければいけません。太陽光パネルの取り外しも可能なため、カーポートの使用状況の変化に合せて、取り外しを選択できます。

出典:ソーラーカーポートの導入について(環境省)

03導入のメリットとは?

ソーラーカーポートには多くのメリットがあります。その中でも特徴的なものを下記に紹介します。

デッドスペース有効活用

ソーラーカーポートにおける代表的なメリットの一つがデッドスペースの有効活用です。カーポートの上部という、他に使い道のないスペースを使用するため、太陽光パネルを設置するための特別なスペースを用意する必要がありません。さらに公共施設などの平面駐車場などは、スペースも広く、高い発電量も見込めます。

カーポートの屋根は太陽光パネルが設置しやすい

家屋の屋根の場合、切妻屋根に代表されるように平面ではなく、立体的な形状になっているケースが多いです。そのため、太陽光パネルの設置に向いている面とそうではない面が生じます。したがって、屋根の面積に対する太陽光パネルが設置可能な面積は、あまり大きくありません。
しかしカーポートの場合、屋根は平面やゆるやかなアーチ状が多いため、屋根の全体を有効に活用して太陽光パネルが設置できます。そのため、1台から数台分という、標準的なカーポートであっても多くの発電量が見込めるのです。

売電収入アップ

太陽光発電で得られた電気は売電に利用できます。売電とは、自宅やカーポートに設置した太陽光発電で作られた電気を電力会社に買ってもらうことです。
一般に、自宅やカーポートで作られた電気は、自家消費といって自宅の電気として使用されます。しかし発電が盛んな昼間には外出していることが多い家などの場合、作られた電気よりも消費する電気の方が少なくなるため、余剰分の電気を電力会社に買ってもらえるのです。既に売電収入がある場合には、ソーラーカーポートの導入により売電収入アップが見込めますし、ソーラーカーポートの設置をきっかけに売電により収入を得られる可能性があります。

電気代削減

前述のように、ソーラーカーポートなどで作られた電気は自家消費が基本になります。売電ができるのは、あくまでも発電量が消費量を上回った時のみです。しかし、発電量が常に消費量よりも少なく売電ができなかったとしても、発電したものを自家消費した分、電力会社から送電されてくる電気の消費量が少なくなります。そのため電気代の削減につながります。特に冷房による電気代が上がりやすい夏の昼間などは、ソーラーカーポートによる発電量も多くなるため、電気代の削減が期待できます。

電気自動車の充電ができる

近年増えている電気自動車(EV)は、カーポートなどに充電スタンドを設置する必要があります。電気自動車の欠点として、充電時間の長さがあります。ガソリン車のように、スタンドでの給油のように数分で満タンにできるわけではありません。最低でも数十分から数時間の充電が必要なのです。そのため自宅のカーポートに充電スタンドを設置するのが望ましくなります。ソーラーカーポートのなかには、電気自動車への充電システムを備えているものもあります。晴れた日の昼間などであれば、ソーラーカーポートで発電された電気のみでの充電も可能なケースも多く、エコなカーライフ実現の一助になるでしょう。

蓄電池やV2Hと併用

ソーラーカーポートで作られた電気は、自家消費以外にも蓄電池やV2Hの充電に使用できます。近年では、夜間の安い電力を溜めておき、昼間の使用電力にする蓄電池システムや、電気自動車のバッテリーを蓄電池のように使って家屋の電気にするV2Hというシステムなどが広く導入されるようになりました。ソーラーカーポートで作られた電気は、このような蓄電装置と併用することもでき、昼間に作った電気を夜に利用したりできるようになっています。

災害対策

災害などにより長期間の停電に陥った際にも、ソーラーカーポートが役に立ちます。電力会社からの送電が途絶えてしまっても、太陽の光さえあれば電気が作れますので、スマートフォンやラジオのような災害時の必需品の充電が可能になります。また前述のような、ソーラーカーポートからの電気自動車の充電システムや、蓄電池、V2Hと併用すれば、停電時にも電気自動車の充電や、夜間に備えた蓄電などが可能になります。ソーラーカーポートの設置は、災害時の備えにもなることから、政府からの注目もますます高まっています。

04導入で気を付けるべきポイント

メリットの多いソーラーカーポートですが、いくつかの注意点があります。特に重要なものを下記に紹介します。

建築確認申請が必須

カーポートの設置には、基本的に建築確認申請が必要です。建築確認申請は10㎡以上の建築物を作ろうとする際に必要になるものです。国土交通省による駐車場施工指針によれば、普通乗用車1台が必要とする駐車スペースは、長さ 6.0m×幅員2.5mですので、面積は15㎡になります。 つまり一般的な乗用車をとめるカーポートであれば、基本的に建築確認申請が必須であるといえます。ソーラーカーポートもカーポートの一種ですので、やはり同様に建築確認申請が必要になります。建築確認申請では、建ぺい率や容積率の確認の他、用途地域や使用などの確認が行われます。
ソーラーカーポートの設置後に確認申請を行い、許可が下りなかった場合には、ソーラーカーポートを撤去しなければいけないケースもあるため、設置前に市区町村役場の都市計画課で調べておくことが大切です。

カーポートの強度

太陽光パネルは、鉄骨などに比べれば軽いものですが、カーポートの屋根に一般的に用いられるポリカーボネート板やスチールの薄板と比べると、それなりに重たいものです。カーポートの設計時から太陽光パネルの設置が計画されている場合は、よほど問題はないでしょう。しかし、既存のカーポートに後から太陽光パネルを設置しようとしている際には、カーポートの柱や梁に十分な強度があるか確認が必要です。

設置スペース

十分な設置スペースがあるか、ソーラーカーポートの太陽光パネルに影がかからないかも確認しなければいけません。車が置けるスペースがあっても、カーポートを設置するためにはさらに大きなスペースが必要になります。またソーラーカーポートで発電できる量は、カーポート上に設置する太陽光パネルの枚数だけでなく、どれだけ光を受けられるかによって左右されます。家屋の西側や東側に設置した場合、時間によっては日の光が遮られるケースもあります。また付近に大きなビルやマンション、他の家屋がある場合にも注意が必要です。年間を通して、十分な日の光が得られそうか、事前に確認しましょう。

05まとめ

ソーラーカーポートは、壁を伴わない、簡易的な構造の車庫の屋根に太陽光パネルを設けたものです。カーポートの設計時から太陽光パネルが設置されている一体型と、元々は太陽光パネルを持たなかったカーポートに後から設置する太陽光発電搭載型があります。ソーラーカーポートには、デットスペースの有効活用や電気代の削減、売電収入の増加、災害対策などさまざまなメリットがあります。一方で設置時には建築確認申請や設置スペースなどの確認が必要です。

【参考】
ソーラーカーポートの導入について(環境省)
駐車場設計・施工指針について(国土交通省)

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